2015.06.13
「延期論」まで聞こえてきた
日本郵政株式上場の
高いハードル

『日本経済新聞』(6月11日付朝刊)は一面トップに「個人資産運用 3社提携―ゆうちょ銀、新会社―三井住友信託・野村と」の大見出しを掲げ、日本郵政グループのゆうちょ銀行が三井住友信託銀行と野村ホールディングスと個人向け資産運用の共同出資会社を設立する方向で大筋合意した、と報じた。
各紙が同日夕刊でフォローしたことでも分かるように、『日経』の断トツ・スクープである。
巨大な資産運用会社誕生へ
手前味噌で恐縮だが、筆者が主宰する情報誌『インサイドライン』(5月10日号)は1カ月も前に「日本郵政Gのゆうちょ銀行―資産運用会社設立へ」と題した記事を掲載している。
同本記に「<前略>ここに来て水面下で検討が進められているのは、株式などで貯金資金を運用する機関投資家化モデルであり、その一環として浮上してきたのが資産運用会社の設立構想である。<中略>しかし、機関投資家化モデルであれば、類似の既存民間金融機関はなく、既存勢力との棲み分けが可能となり得る。そうした中で浮上してきた資産運用会社の設立構想は、機関投資家化するためには、資産運用のノウハウを有する専門家を確保する必要があるからだ。<後略>」と書いた。
200兆円超の資産があり、売り上げが2兆円規模のゆうちょ銀行(長門正貢社長)が民間の金融機関とタッグを組んで資産運用会社を設立するというニュースは、当然ながら株式市場関係者に歓迎された。