致死率37% MERSが
海を渡ってやってくる!
そのとき「感染症後進国」
ニッポンはどうなる⁉

韓国で「中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)コロナウイルス」が猛威を振るっている。韓国の保健福祉省によると、先週末(13日)の段階で感染者が138人、死者が14人に達した。韓国では、16日にオバマ米大統領と会談する予定だった朴槿恵(パク・クネ)大統領が訪米を延期せざるを得なくなったほか、3000近い学校が休校するなど、社会的な混乱が広がる一方だ。
経済も麻痺しかねない。消費マインドの冷え込みを懸念して、韓国の中央銀行である韓国銀行は11日、政策金利を同国として過去最低の1.5%に引き下げた。
そこで問題として浮上してくるのが、30年近くにわたって「感染症対策の後進国」と言わる状況が放置されてきた、われわれの日本への影響だ。そこには、MERS騒動を「対岸の火事」と、安穏としているわけにはいかない現実が存在している。
MERSは世界中に広がっている
MERSは、2012年にサウジアラビアで初めて存在が確認されたウイルス性の感染症だ。原因のウイルスは、風邪を引き起こすコロナウイルスの新型。感染後2~14日で症状が表れる。人への感染経路は解明されていないものの、ヒトコブラクダが感染源の一つとされる。その名前から明らかなように、中東地域で患者が多い。
世界保健機関(WHO)によると、今月9日までに報告された感染者は1218人で、うち449人が死亡した。この致死率は37%と、2002年から翌年にかけて世界的に流行して約800人が死亡した「重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)」の10%よりかなり高い。
いずれも人から人へ感染する病気だが、MERSの感染経路は接触感染とみられている。不幸中の幸いは、SARSのような咳やくしゃみによる飛沫感染ではないため、MERSの感染力はSARSより弱いとされていることだ。とはいえ、今月6日の段階で、MERS感染者は中東と韓国のほか、米国、フランス、ドイツ、イギリス、マレーシアを含む世界25カ国で確認されている。
一般的な症状は、発熱、せき、肺炎、下痢など。感染し発症しても、軽症で済むケースも多い。ただ、高齢者や糖尿病、高血圧、心臓病などの持病のある人が感染した場合、重症化して深刻な肺炎をおこしやすいという。