先ほども少し触れたように、人間の睡眠にまつわるホルモンの分泌などを決めるのは、体内時計だ。これは遺伝子によって決定され、さまざまな周期の人がいるという。
読者のなかには、「人間の体内時計は25時間周期で、それを24時間に無理やり調整しているから調子が悪いのだ」といった言説を目にしたことがある方も多いだろう。
しかし、実際には体内時計も遺伝子によってさまざま。24時間周期より長いことが多いのは確かだが、24時間30分だったり、26時間だったりする。体内時計の周期が長い人は、宵っ張りになるのも自然なことなのだ。

前出の玉岡氏は、床につく時間を気にするよりも、起きる時間を一定にしたほうがよいと話す。
「朝日を浴びると体内時計はリセットされ、自分なりの睡眠リズムが安定し、自然と夜の寝つきもよくなります。平日よりも土日は多く寝ようとする人がいますが、これをやると月曜日の朝には体内時計が狂ってしまう。また、いわゆる寝だめには普段の睡眠不足を補う効果はないことが知られています」
最近の研究では、その人なりのリズムより長く寝すぎると、抑うつ気味になり、気分が落ち込むことがわかってきたという。また'12年、イスラエルの研究者が発表した75~94歳の1166人のデータ分析によると、睡眠時間が7~9時間の人に対して、9時間以上眠っている人の死亡率は大幅に高くなるという。
「寝酒も逆効果です。夜、飲酒しても酔いがさめてから寝たほうがいい。アルコールはたしかに一時的に寝つきをよくしますが、実は深い睡眠を妨げてしまいます。トイレが近くなって眠りも浅くなり、十分に脳の休息が取れず、認知症のリスクも高まります」(玉岡氏)
あなたの睡眠には問題があるのか、ないのか。また朝型夜型などどんな特徴があるのか。国立精神・神経医療研究センターHPの「睡眠に関するセルフチェック」で簡易的に調べることもできる。
まずは自分の睡眠のクセを知り、毎朝、同じ頃に朝日で体内時計をリセットして、自然に眠くなったときに寝る。
これが最新医学の示す、もっともよい寝方と言えるらしい。
「週刊現代」2015年6月27日号より
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