2015.07.02

【沿線革命049】東海道新幹線
焼身自殺による火災事故 
鉄道テロ対策が急務だ!

阿部 等

人手とハイテクを連携させた警備体制を

今まで日本は、地下鉄サリン事件以外には多数の死者の出た鉄道テロを受けていない。設備被害と輸送混乱という点では、1985(昭和60)年11月に首都圏と大阪府の国鉄及び西武鉄道の信号ケーブルが各所で同時に切断されるゲリラ事件があった。

今後、テロが先鋭化するリスクを考えるなら、人海戦術による警備主体では防御しきれないことは明白だ。例えば、時限爆弾を新幹線の網棚に載せて下車しその後に爆発させる行為は、人海戦術による警備では防御できない。

以下の人手とハイテクを連携させた鉄道テロ警備体制の構築を提案する。

駅構内と列車内の随所に監視カメラを設置して、網棚・座席・駅等に荷物を置いて離れる乗客を画像解析で抽出し、以降、追跡するシステムを導入する。そして、改札口等で呼び止めて事情を確認する。

同時にスピーカーも随所に設置し、不審物の放置が発覚した場合は、付近からの緊急避難を放送し、必要により列車は緊急停止させる。

また、挙動不審な行動も画像解析で抽出し、駅係員や車掌を現地に急行させ必要な処置を講ずる。

荷物の放置や挙動不審を抽出するアルゴリズムは容易には開発できないだろうから、初期は駅係員や車掌の目でモニターを監視して見い出す。人の目による発見をシステムに学習させ、抽出アルゴリズムを次第に高度化させる。

プライバシー侵害といった反対意見が出ようが、今回の放火事件から将来のテロを連想するなら、そんな悠長なことは言っていられまい。

駅構内や列車内は高度の公共空間であり、徹底的に監視することが鉄道の安全と安心を実現するのに不可欠だと説明すれば、社会の理解を得られのではないだろうか。その効果の高さが理解されれば、早期の実行への期待すら生まれると考える。

何しろ今回の事件は誰にも他人事とは思えない。いつ同じ場面に遭遇するか分からない。社会の合意をまとめ、また必要な技術開発を進め、テロの脅威に対する絶対的な防御策を構築したい。

(7月3日追記:9日公開の【050】に鉄道テロ対策の続報を書く予定です)

※Y!ニュースその他では貼付け図の一部が表示されません。現代ビジネスのサイトでは全ての貼付け図を見られます。

  阿部等(あべ・ひとし) 1961年生まれ。東京大学 工学部 都市工学科卒。88年にJR東日本へ入社、保線部門を中心に鉄道の実務と研究開発に17年間従事。2005年に同社を退社し(株)ライトレールを創業、交通計画のコンサルティングに従事。著書『満員電車がなくなる日』。日経ビジネスオンライン「キーパーソンに聞く」が好評。FacebookTwitterにて実名で情報発信。交通や鉄道の未来を拓きたい方のために、交通ビジネス塾(http://www.LRT.co.jp/kbj/)を主催し、工学院大学オープンカレッジ鉄道講座(http://www.LRT.co.jp/kogakuin/)の事務局を務めている。
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