2015.07.14

精神科病院准看護師が
患者の頭を踏みつけ、首の骨を折る
異常虐待の闇が明るみに!【後編】

佐藤光展(読売新聞医療部 記者) , 講談社現代新書


1月1日午後4時過ぎ。狭い保護室の天井に設置され、部屋の隅々を真上から映す監視カメラが、看護師と思われる男性職員2人の入室を捉えた。そこはドアの横に便器と、あとは布団と枕があるだけの刑務所のような空間だ。

床に座り、ドアとは逆の格子付き窓の方向を長時間眺めていたユウキさんの肩に、後ろから来た職員が手をかけ、引き倒してあおむけに寝かせた。この時、普通であれば横たわったユウキさんの顔は真上にあるカメラに正面を向け、はっきり映るはずだが、実際の映像では頭頂部あたりしか見えない。

以前の病院で多量に飲まされた薬の影響で、ユウキさんの首は激しく前傾し(斜頸)、あごが鎖骨につく状態で固まっていたためだ。床に寝ても頭が上がったまま動かないのだ。
 

 
この状態で、職員らは栄養食らしきものをユウキさんの口に含ませ、2人がかりでおむつ交換に取りかかった。

交換自体は手慣れた様子ですぐに終わったが、ズボンをはかせようとした時、問題が起こった。ユウキさんがあおむけのまま両脚をバタバタと動かし、抵抗したのだ。