2015.07.14

精神科病院准看護師が
患者の頭を踏みつけ、首の骨を折る
異常虐待の闇が明るみに!【後編】

佐藤光展(読売新聞医療部 記者) , 講談社現代新書

この時、職員はユウキさんの左右に1人ずついた。ユウキさんの右手側の職員を職員A、左手側の職員を職員Bとしよう。2人はかがみ込んだ姿勢でズボンを両脚に通そうとするが、二度、三度とやってもうまくいかない。ズボンを下肢に通しても、ユウキさんが脚全体を動かして抜いてしまうのだ。ズボンの締め付けや肌触りなどが嫌だったのかもしれない。
 
職員がさらに力を込めると、怯えたように胸の上に置いていたユウキさんの右手が「やめて」と言わんばかりに下方に伸びた。この手を職員Aが押さえ、再び胸に戻した。

その時、ユウキさんの脚がさらに激しく動き、職員Bの体が前から強い衝撃を受けたかのように後ろに移動した。職員Bの体は、この瞬間は後頭部と背中しか映っておらず、体の前側で起こったことは特定できないが、状況と衝撃の大きさから見て、おそらく上半身のどこかに、ユウキさんの左脚が蹴るような形で当たったと思われる。
 
次の瞬間、職員Bは腹を立てた様子で突然立ち上がり、ユウキさんの頭部に近づいて右脚を激しく前に振った。靴を履いた足が頭部に当たったかどうかは、この職員の体に遮られて確認できないが、この時、ユウキさんの頭部が激しく動いた。

さらに、右脚がもう一度勢いよく前に振られた。この場面は、カメラが足先までしっかりと捉えていた。右足が頭の上方に蹴りこまれ、衝撃でユウキさんの髪がひどく乱れた。続いて、右足を軸にユウキさんの頭部をまたぎながら、左足で顔面のあたりを踏みつけた。この動作もカメラにはっきりと映っている。
 
この後、職員Aがユウキさんの上半身に自分の体重を浴びせて押さえ込み、暴行した職員Bはユウキさんの片足を踏みつけた。そこに3人目の職員が現れてズボンをはかせ、間もなく職員全員が保護室から出て行った。