2015.09.06
# 雑誌

相次ぐ老人ホームの倒産〜突然の退去通知、そのとき何が起きるか?

「要介護600万人」時代の大問題
週刊現代 プロフィール

また今年6月、群馬県前橋市の介護事業者ヴィータが経営破綻。同社は、デイサービス施設や訪問介護ステーションを併設したケアマンションを展開していた。

こうした住宅では、部屋の利用権しかない有料老人ホームと異なり、入居者は居住権も主張でき、比較的強い立場にあるとされる。

ところが、同社の倒産で、入居者はすみやかな退去を余儀なくされた。

なぜ、そんな事態に陥ったのか。前橋市介護高齢課は、こう説明する。

「ヴィータの物件はマンションと言っても、実態は自治体に届け出が必要な老人ホームだったと理解しています。しかし同社からの届け出はありませんでした。自治体としては届け出があって初めて指導などもできるわけで、市としては入居者の方がどうなったか把握していません。出先機関が個別に相談を受けて新しい入居先を探したことはあったかもしれません」

別の不安もある。斡旋される移転先が、どこになるかだ。「提案された母の移転先が、縁もゆかりもない関西の施設で驚いた」(練馬区在住・55歳男性)という証言もある。

あるケアマネはこう明かす。

「それは一長一短です。地縁のない遠方を提案されれば不審に思うでしょうが、実際は地方ほど入居にかかる費用は安く、居室も広くなる。『少しでも安く』というご希望が強ければ、遠くの施設を提案するケアマネは多いと思います」

 

こんなはずでは…

幸いにして移転先がスムーズに見つかっても、引っ越しの費用など経費が補償されるかは契約次第。

実際、「移転する際に新しい施設の車で送迎を頼もうと思ったら、介護保険の点数をかなり引かれると言われ、夫が急遽、仕事を休んで自家用車で送ることになった」(世田谷区在住・53歳女性)という例も。やはり、多くの負担が家族や本人にかぶさってくるのだ。

ではもし、入居時に一時金が必要な「老人ホーム」が倒産したら、払ったカネは返ってくるのか。

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