【前編】はこちらをご覧ください。
日野 ところで、全身編集長の島地さんと、カイチュウ博士の藤田先生の、そもそもの接点はどこにあったのでしょうか?
島地 私がまだ集英社インターナショナルの雇われ社長だった頃、いろんな分野の専門家の先生やクリエイターを招いた自称勉強会を開催していたことがあって、そのときのメンバーの一人が藤田さんだったんだよ。
藤田 もう10年以上前のことですが、あの勉強会は、まさに島地さんの人徳のなせるわざでしたね。とにかく楽しかった。
島地 政治、経済、法律、医療等々、いろんな専門家を招く勉強会は他にもあると思いますが、その場が特殊だったのは、商売とはまったく関係のないところで開催したところですね。録音したり、後で記事にしたりもしない。
藤田 おっしゃる通りで、私もサナダムシをはじめいろんな寄生虫の話を好き勝手にさせていだたいて、みなさん率直で鋭い質問を投げかけてくれるから、とても刺激的な場でした。
島地 上等なお弁当も用意して、ワインも飲み放題で、勉強会の後はいつも銀座に繰り出しましたよね。
日野 それで仕事に結びつけないなんて、今の出版界じゃ考えられないことです。
島地 すぐ仕事につなげて回収しようとする貧乏くさい発想がダメなんだよ。作家や著者と飲み食いするのは大いにけっこう。そういったお付き合いの積み重ねが、巡り巡って、大きな仕事になって帰ってくるものなんだよ。
私が1年間で使った交際費の最高記録は約1億円ですが、帰って来たお金は10億円以上ですよ。
藤田 さすがは出版界のドン。桁が違いますね。お金の使い方に何かコツがあるんでしょうか?