2015.10.08

【沿線革命063】“世界一の鉄道”に事件・トラブル多発!?

阿部 等

京浜東北線の架線切断事故は運転ミス?

続いて、さる8月4日に桜木町で発生し35万人に影響した架線切断事故が取り上げられた。【054】にて、時系列順に大きく以下4つの問題点があったとし、2)と3)に絞って解説と提案をした。
1)架線が断線した。
2)駅間に停車した列車の乗客を迅速に誘導できず、ドアが開けられ並行線まで止めた。
3)折り返し運行した蒲田-大宮のダイヤも大幅に乱れた。
4)復旧に時間を要した。

そして、1)に関して「JR東日本は5日夕に、架線断線の原因は運転士が誤ってエアセクション区間に停止して発進したことと発表した。次回以降に、それを解説」とした。

番組でも、止まってはいけない架線のつなぎ目に停止し、発進時にショートして架線を溶断させたのは「運転ミス」と説明していたが、そうとは言いきれない。

運転士は必ず以下を教わる。
・エアセクション内に停止してはいけない
・万が一停止した場合は、エアセクション内のパンタグラフを降下させて発進する

しかし、京浜東北・根岸線の運転士は線内のエアセクションの位置を教わっていなかった。ATC(Automatic Train Control、自動列車制御装置)により減速・停止し、エアセクション内には停止させない制御としていたためだ。

しかし、前方に障害物を見つけたり、他列車が発報した防護無線を受信した場合は、駅間でもATCによらずに停止させる。今回の事故を「運転ミス」とするのは運転士に酷だろう。

その後、乗務員にエアセクションの位置を周知する、走行時はエアセクションの位置を音声で乗務員に知らせるシステムを他線と同様に導入する等、再発防止策が発表された。

3分に1本は過密ダイヤでなく過疎ダイヤ

番組で、「衝突事故を防ぎながら、3分に1本という超過密ダイヤを可能とするために、最新の運転システム「デジタルATC」が12年前に導入された」と紹介されたことに違和感を覚えた。

正確には3分でなく2分20秒だが、2分20秒としても、決して「過密」ダイヤではなく「過疎」ダイヤだ。現行の信号システムは効率性が低く、車間距離を空け過ぎている。

現行の京浜東北線は、大駅での発着時隔(先行列車の出発から後続列車の到着までの時間間隔)70秒+停車60秒+余裕10秒といったところで、140秒=2分20秒おき、1時間に26本である。

日本で最も時隔が短いのは、東京メトロ丸ノ内線の池袋から都心方面の朝1時間に31本だが、丸ノ内線は18m×6両と編成長が短い。

20m×10両の京浜東北線で、先行列車が減速度無限大で停止しても追突しないことを前提に計算すると、信号システムを究極まで効率化することで発着時隔を40秒に短縮できる。

輸送力増強で混雑緩和され停車時間を40秒に短縮できるとして、余裕10秒と併せて40+40+10=90秒=1分30秒おき、1時間に40本とできる。

さらに、加減速性能を路線バス並み、非常制動をマイカー並みとすると、発着時隔30秒+停車25秒+余裕5秒=60秒おき、1時間に60本とできる。

「現行の2.3倍、満員電車などなくせる、2020年東京五輪を目標に実現したい」といったことを、2013(平成25)年9月に五輪招致が決定した際に、東京新聞の取材に答えた。

こういったことを書くと、ネットに「机上の空論、非現実的」との意見が多数出ることを覚悟している。

1時間に40~60本に増やせることは、物理の公式に当てはめて誰が計算しても同じ答えとなる客観的な数値だ。

究極まで効率化した信号システムをどうやって実現するか、鉄道に路線バスやマイカー並みのブレーキが許されるか等、解決すべき課題はあるが、諦めずに実現することが鉄道の未来を拓くことだと信じている。

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