2015.10.13

これが日本の生きる道!
TPP交渉で日本が勝ちとった「戦果」とは?

自動車業界は胸をなでおろしている
TPP交渉の最前線に立った甘利明経済産業大臣 〔photo〕gettyimages

消費者にとっては大歓迎

人口の減少を貿易の拡大で補うーー。そんな期待を抱かせる巨大な自由貿易圏の誕生が現実味を帯びてきた。

先週月曜日(10月5日)、日本、米国、豪州など12ヵ国が環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉で大筋合意に達した。

発効すれば、国内総生産(GDP)で世界の4割弱、8億1000万の人口を擁する世界最大の自由貿易圏が誕生することになる。日本にとって、1992年の「関税及び貿易に関する一般協定」(GATT)のウルグアイ・ラウンド以来のメガ通商協定だ。

協定発効は来年以降になる見通しだが、農林水産省は発効を前提に、現在、農水産物834品目にかけている輸入関税の半分を撤廃する方針だ。

ブドウ、小豆、マグロ缶詰が即時関税ゼロとなるほか、ワイン、オレンジ、ソーゼージ、牛タン、鶏肉、紅鮭の関税も6~11年をかけて撤廃する。現在38.5%の関税をかけている牛肉も、段階的に9%まで引き下げる計画だ。

われわれ消費者にとって歓迎すべき話である。

一方、製造業では、自動車や自動車部品などの輸出が容易になるため、生産の空洞化に歯止めがかかり、国内の雇用維持に役立ちそうだ。早くも、ライバルの欧州や中国、韓国が焦りの色を見せているという。

競争にさらされる国内農業の体質改善は内政面の大きな課題だ。また、TPPをテコに欧州や中国、残りのアジア諸国とも野心的な経済連携協定を締結できるかどうか、日本の経済外交の大きな焦点になるだろう。

TPPの発効には、日米を含む6ヵ国以上が批准したうえで、そのGDPの合計が域内の85%以上を占めることが必要。来秋に大統領選挙を控えた米国で議会承認手続きに時間がかかることが予想され、協定の批准は2016年6月以降になる見通しだ。

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