2015.11.08
なんだって? 現代人には「足腰」がない!?
〜武術家・光岡英稔が知る身体観
独占・最強インタビュー(2)

ですから、型が大事だといっても、現代人の体のまま動いてしまうのか、それとも古の型が要求している体に目を向けていくのか。これによって稽古の質は全く変わってきます。少なくとも昔の体に戻らないと型は理解できません。
−−なるほど。
古の型を通じて私にできる技がある。しかし、他の人にはそれができないとします。それは他の人に経験や体験がないのではなく、違う経験や体験があるのです。
はるか昔の人の経験や体験でありながら、私の中で存在しているとしたらそれは何か。もしくは私の中に見当たらないものはなにか。そうした探求は、過去にさかのぼって、自分を観ていくしかありません。
さかのぼると昔の生活観といまとのギャップを如実に感じます。私たちの身体観、生活観は明らかに変わっています。
と同時に、古の技が成立する理由をみたとき、なぜか子供の頃のあのカリフォルニアの山中の経験がすごく重要な役割をなしているように感じられます。そのとき使っていた体なり培った身体観がいざというと戻っていける場所になっています。文字通りのバックボーンです。
第3回「江戸時代は誰もが、60キロの米俵をヒョイと持ち運んでいた!」→
インタビュー構成:尹 雄大(ユン ウンデ)
1970年、神戸生まれ。テレビ番組制作会社、出版社を経てライターに。インタビュー原稿やルポルタージュを主に手がける。10代で陽明学の「知行合一」の考えに触れ、心と体の一致をさぐるために柔道や空手、キックボクシングを始める。1999年、武術研究家の甲野善紀氏に出会い、松聲館に入門。2003年、光岡英稔氏に出会い、韓氏意拳を学び始める。主な著書に『FLOW 韓氏意拳の哲学』(冬弓舎)、『体の知性を取り戻す』(講談社現代新書)、『やわらかな言葉と体のレッスン』(春秋社)などがある。
1970年、神戸生まれ。テレビ番組制作会社、出版社を経てライターに。インタビュー原稿やルポルタージュを主に手がける。10代で陽明学の「知行合一」の考えに触れ、心と体の一致をさぐるために柔道や空手、キックボクシングを始める。1999年、武術研究家の甲野善紀氏に出会い、松聲館に入門。2003年、光岡英稔氏に出会い、韓氏意拳を学び始める。主な著書に『FLOW 韓氏意拳の哲学』(冬弓舎)、『体の知性を取り戻す』(講談社現代新書)、『やわらかな言葉と体のレッスン』(春秋社)などがある。