2015.11.01

科学界の「あの騒動」を彷彿!? 論文偽装に秘められた謎を解け!

【特別対談】伊与原新×朱野帰子~わたしの知らない理系の世界
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科学の道を進むということ

伊与原 『ルカ』ではポスドク問題など、若手の研究者が直面している問題を書きたいと思っていました。周りの研究者たちは、『ルカ』を読むと決まって、ポスドクの今西のことを「僕のことだよね」って言うんですよ。自分は不遇だと(笑)。確かに日本は研究者の数が多いんです。

ただ、ポスドク問題は自業自得の面もあります。全員が熱意ある研究者ではなくて、周りに流されるように進学して、辞め時を失った人もいます。博士号を取得するともう27歳。でもしばらくは非正規で食べて、好きなことをして暮らせてしまう。その先の生活が、楽なわけはないですよね。

朱野 結構ドライな見方ですね。取材していると、頑張っても正当に評価されない・・・・・・という声もよく聞きます。

伊与原 教授の研究を「ご奉仕」的に手伝うことが多いラボではその意見を聞きますね。地惑は独立して研究している人が多いので、その感覚は薄いかも。

朱野 そもそも伊与原さんが研究の道を志されたのはどうしてなんですか?

伊与原 父が理系の技術者で、子供のころから「Newton」などの科学雑誌を読んでいました。最初は宇宙物理学者を目指していたんですが、数学が天才的にデキなければいけないと知って諦めました。それで、今度は野外で調査をするのがカッコいいんじゃないか? と思って地球惑星科学、地球物理に進みました。でも最近、自分は心のアウトドア派だと気づきました。

朱野 「心の」とは。

伊与原 実は野外調査はめんどくさかった(笑)。芯からアウトドアな人は、地球じゅうを飛び回ってます。ここだけの話ですが、サンプルばっかりとってきて、研究成果が上がらない方もいます、研究室は嫌なんでしょうね、室内だから(笑)。

朱野 本当にアウトドア派ですね(笑)。地惑系はカッコいい人が多いですよね、ガタイが良くて山男っぽいというか。

伊与原 地質系はマッチョで上下関係が厳しいんです。数キロ四方を歩いて地質マップを作れという指示が平気で出る。荒野にひとりで放り出されて、できるまで帰って来るなと。あと岩石をリュックにいっぱい詰め込んで海を泳いだり。それも調査現場が船着き場もない島にあるだけで、悪意はまったくないんですが。

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