東芝にまた会計不祥事が発覚!口先だけの是正策、本気で「再建」に取り組む気があるのか?

また、やっちゃった
混迷が続く東芝に、新たな会計不祥事が発覚した。
先週月曜日(11月9日)発売の日経ビジネスが報じたもので、同社が頑なに連結ベースでの減損処理を拒んできた米原子力事業子会社ウエスチングハウス(WH)に関して、WHが米監査法人に減損処理を迫られて2012、3の2会計年度に合計1600億円の損失処理を実施していたにもかかわらず、それを開示せず、上場企業としてのアカウンタビリティ(説明責任)を怠ったというものだ。
これに対して、東芝は、報道された事実関係を否定せずに、特殊な会計ルールを適用しているので連結ベースでは減損処理の必要がないという趣旨のコメントを公表するにとどまっている。
これを受けて、新聞各紙も新たな隠ぺいを競って報じ始めた。
ご存じの通り、東芝は今年9月、2014年度第3四半期までの6年9ヵ月間に2248億円の税引き前利益の水増しがあったと決算修正を行ったうえで、取締役会の過半数を社外取締役とする新しい経営体制を発足させたばかり。
しかし、そうした是正策が口先だけだったことがはっきりと裏付けられた格好で、早くも再建が暗礁に乗り上げたのだ。
日経ビジネスによると、WHの減損処理は、2012年度が9億2600万ドル(約1110億円)、2013年度が4億ドル(約480億円)だ。いずれも新規の原発建設の受注などの不振から、バランスシート上の資産価格を大幅に切り下げざるを得なかったというもので、WHは両年度の期間損益が赤字に転落したという。
こうした事実は、同誌が入手した東芝経営陣の電子メールのやりとりなどを記載した内部資料で明らかになったとしている。
早くから、WH問題の闇を指摘する向きは多かった。筆者もその一人で、本コラム(2015年7月21日付「膨らんだ『のれん代』1兆円超 東芝がひた隠す『原発事業の不都合な真実』」http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/44271)などで、事態の収拾を当時の経営陣任せにしていては問題が封印されかねず、再建に支障をきたすと警鐘を鳴らしてきた。
というのも、WHは、東芝が社運をかけたM&A(企業の合併・買収)案件であり、2006年から2度にわたって総額6600億円あまりという巨額の資金を投入したにもかかわらず、新規の原発建設受注が10基程度と、当初の目論みの3分の1から5分の1という低水準にとどまっていたからだ。
背景には、スリーマイル島、福島第一両原発の大事故や、廉価なシェールガスの商用化がある。世界的に原発事業を成長分野と見込むことが難しい環境になり、会計的にも投資戦略の失敗の清算を迫られていたのである。