ベルギービールがなぜ「発泡酒」扱いか、ご存知ですか? ビール増税をめぐる、おかしなおかしな話

増税先送りも、喜んでばかりはいられない
政府・与党は昨年暮れに続き、また1年、ビール系飲料3種(ビール、発泡酒、新ジャンル商品)の段階的な税額の一本化を先送りした。どうやら、来夏に迫る参院選を意識して、大衆増税が有権者の反発を買うことを避けたいとの思惑が働いたらしい。
永田町・霞が関では、「参院でも議席の3分の2以上を獲得し、悲願の憲法改正を実現することへの安倍晋三首相の執念の表れだ」と受け止められている。
政治的な思惑はさておき、ビールに比べて価格の安い発泡酒や新ジャンル商品の値上げに直結する増税がとりあえず回避されたことにホッとした愛飲家は多いことだろう。
しかし、喜んでばかりはいられない。税額の一本化先送りのあおりで、ビール系飲料の広告規制の緩和が見送られる公算が大きいからだ。そうなると、成長分野とされるクラフトビールや輸入ビールに対する足かせが外れず、これまでと違ったタイプのビール系飲料が陽の目を見ない恐れがあるという。
いったい、なぜ、成長戦略の基本である規制緩和が葬られるのか。その力学を探ってみよう。
酒類は、「財政の玉手箱」―。
日本の酒税の歴史は古く、その起源は室町時代に遡るという。間接税を薄く広く課税する消費税が導入された後も、酒税については庶民に重い負担を迫る構造が是正されなかった。
2013年度の実績を見ても、酒税は1兆3708億円と税収(一般会計分)の2.9%を稼ぎ出している。これは、消費税と2重課税されている個別間接税の中では、5.57%を占めた揮発油(ガソリン)税に次ぐ第2位の規模である。
辛党諸氏は、「財政に寄与している」と胸を張っていいだろう。ちなみに、国際的に見ると、酒税が税収に占める比率は、英国と並ぶ高水準だ。1%に満たないフランス、米国、ドイツと比べて “酷税”になっている。