2016.01.07
# 雑誌

五郎丸歩 独占インタビュー
「僕はいま、“失敗”したい」

あれから3ヶ月が過ぎて思うこと
週刊現代 プロフィール

しかし南アフリカ戦の金星をきっかけに興味を抱いたファンは、やはり「五郎丸」に引き寄せられる。

「ラグビー文化、スポーツ文化の定着した国であれば、いろいろな選手がスタジオに呼ばれると思います。日本の現状ではどうしてもキックのポーズが注目される。エンターテインメントとして扱われてしまう。でも、いまは仕方がない」

自分が露出することでラグビーの奥深さを知ってもらえれば。まさに使命である。W杯の快挙の前からのファンは、そんな姿勢を「同志」として理解、感謝もしている。

「(テレビ出演などが)好きか嫌いかといわれれば、そんなに好きではないですよ。拘束されますし。でも行けば行ったで楽しいところもある。初めての経験なので。そもそも相手に合わせるタイプでもありませんし、ことさらに苦手意識はありません」

有名であることには慣れたのだろうか。

「立ち位置は間違いなく変わりました。いい意味で自分自身にプレッシャーをかけられます。これだけメディアに登場して、パフォーマンスがよくない、試合を欠場する、というケースもありうる。そこを乗り越えて結果を出すという高いモティベーションを持ちたいですね」

勘違いはしていない

口調、言葉の選び方はどこまでも冷静だ。万事にブレない。いくら称賛されても浮かれたところは見つからない。

「脚光の当たり方は変わりました。ただ自分たちラグビー選手の行動はずっと変わらない。これまで広く知られていなかっただけで。本当に内面の素晴らしい人間が多いんです。地道な努力を以前から続けてきました。せっかくなら、たくさんスタジアムにきていただいたお客さんに満足して帰ってもらえるような試合をしたい。僕だけでなく、すべての選手がそう考えています」

2019年のラグビーW杯日本大会、その翌年の東京五輪、アスリートとしてスポーツ文化醸成の力となりたい。そのために知名度をいかせるなら何でも引き受ける。

「(サッカーW杯と合わせて)世界の3大スポーツイベントのうち2つがやってくる。ここで変わらなくては。だから自民党の式典にも出て挨拶させてもらったんです」

11月29日の同党60周年記念式典への出席は「サプライズ」とされ、特定の政党への接近を危ぶむ見方も一部にあった。

「自民党の政治家をめざしているのか、と。まさか。そんなつもりも能力もありません。勘違いはしていない。ただ現実に国を動かしている方々に、私たち選手のワールドカップでの経験、現地のホスピタリティーなどスポーツ文化について伝えたかった。どうしてもラグビー界だけでは大会を成功に導けないわけですから。いろいろと話もさせていただきました。でも、そこは報道されませんでした」

いまなら耳を傾けてもらえる。どこか愚直なまでの使命感である。私人ではなく、ラグビー競技の公人として動こうとしている。

「練習の時間は確保できています。その分、家族との時間を削っている。きのうも子供が泣いたらしいです。4月から代表の合宿が続きましたし、家族への負担は本当に大きいですよね」

かわいい子供たちにとっての朗報がある。

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