
英語ができないだけで大損の日本人
私と同様に、子供を幼児期からアジアや欧米のインターナショナルスクールに入れている非英語圏の親御さんたちとも話す機会があるのだが、自分の子供を幼少期から海外で学ばせる理由は、おもに以下の3点に集約される。
・英語を使いこなせるだけでチャンスが全然違う
・教師と施設の質が段違いにいい
・逆に強い母国愛を持つようになる
英語が話せない、書けない、ただそれだけでどれほど多くの日本の高度人材が世界でチャンスを失っていることか。
世界で最もハイレベルなグローバル金融・経済会合であるミルケン・グローバル・カンファレンス(MGC)に日本人リーダーをスカウトとする仕事をしている私は、「世界レベルで活躍できる日本人は相対的にどんどん減っている」という印象を持っている。
実質的な数は微増しているかもしれないが、アジア新興国を含めた多くの国々から、そういう人材がどんどん輩出されており、それを加味すると相対的に存在感が薄れているのだ。私は今までずっとその変化を見てきている。
友人がアメリカの名門校の学部生の選考委員をやっているのだが、彼はこう言っていた。
「日本の超エリート高校出身でも、数学五輪の金メダリストでも、もうアメリカの名門大学には入りにくくなってきている。ほとんどが英語の問題だ。うちの大学は世界中からさらに高度なアプリケーションが集まりつつあり、競争率も競争の質も高まり、英語が日本の高校レベルのままでは絶対に突破できない」
「私も高校まで地方の公立校にいてハーバードに合格したんだから大丈夫」という日本の某大学幹部のご婦人がいたが、時代が違う。彼女が受験した当時とは競争率も競争の質もケタ違いに今の方が高い。もし今受験したら当時の彼女は合格できない可能性が高い。

私が所属するミルケンインスティテュートの国際会議(MGC)でも、もっと日本人に登壇してほしいのだが、悲しいかな、うちの登壇基準ではほとんど日本人が選外となってしまう。
日本ではWEF(世界経済フォーラム)が最高の国際会議だと思われているようだが、参加者の選考基準はアメリカ最高レベルのMGCの方が厳しい。WEFのように国別の参加枠などないので、純粋に世界レベルの人材でないと、事務局のスクリーニングで落とされてしまうのだ。
参加したいとの売り込みもたくさん来る。もちろん多額のお金を払えば話は別だが、世界最高の金融経済会議に日本人が参加できないのは本当に残念なことだ。