2016.02.02
星の王子さまは「モラハラ」で殺された!?
この世界の恐ろしい秘密が明かされる文・安冨歩(東京大学教授)
恐ろしい世界の構造が書かれた『星の王子さま』
サン=テグジュペリの『星の王子さま』は、全世界で大ベストセラーとなっており、一億数千万部も売れたそうである。私はこれは、実に不思議なことだと思っている。なぜかというと、この本は、大人が、自分自身の目からも押し隠している、この世界の恐ろしい秘密が露骨に書かれているからだ。普通なら、こんな恐ろしい本を、子どもには絶対に読ませたくないはずである。
ところが。
どういうわけか大人たちはこの本を「子ども向けの無害で有益なメルヘン」か何かだと勘違いしていて、せっせと買っては自分の子どもに与えている。実に不思議である。
では、この本には何が書かれているのだろうか。
私の見るところこれは、家庭内における女性による男性に対する「モラル・ハラスメント」が主題であり、さらにそれを助長するおせっかいやきの外部者による「セカンド・ハラスメント」によって、王子が自殺に追い込まれる物語なのである。
そんな馬鹿な、と思われるかもしれないので、この小説のストーリーを時系列順にまとめてみよう。それだけで、私が言っていることがおわかりいただけるはずである。