「キューバが愛した日本人」
カストロに友と呼ばれた竹内憲治の生涯
向井理の現地ルポで、本日ドキュメンタリー放送

日本人には馴染みがない「キューバの偉人」
「素朴さ、根性、繊細な感情、勤勉といった祖国日本の最も優れた美徳を兼ね備えていたが、爾来それらのすべてを帰化した我が国への奉仕として捧げた」
キューバ革命を指導し、長年、国家元首を務めたフィデル・カストロにこう言わしめた日本人がいたことはあまり知られていない。園芸家、竹内憲治。冒頭の言葉は、カストロの竹内への追悼文の一部である。カストロは竹内のことを「亡き友」と呼んだ。
竹内は1931(昭和6)年、29歳の時にキューバに渡航以来、1977(昭和52)年に現地で76歳の人生を閉じるまで、キューバの園芸、農業の発展に尽力してきた。キューバの冠婚葬祭で用いられる真っ白なユリ「ホセ・マルティ」。建国の父と呼ばれる独立革命家の名前が付いた花は、竹内が日本のユリをキューバに根付かせようと品種改良しながら丹精込めて開発したものだ。
この竹内のキューバに於ける人生の軌跡を、俳優・向井理が現地ルポで紹介するドキュメンタリー番組「キューバが愛した日本人」(読売テレビ制作)が2月7日午後3時から、日本テレビ系列で全国放映される。
米国とキューバは2015年7月、54年ぶりに国交を回復させた。両国の関係良化は今後、投資や観光客の増加などの面を含めて少なからず日本とキューバの関係にも影響が出るだろう。音楽、葉巻、ラム酒、野球といったキューバ文化・風土への憧れから、元々日本にはキューバファンは多い。番組では、向井がキューバの歴史や文化・風土に触れながら竹内の人生を追う。
企画は、元朝日放送プロデューサーで「サンデープロジェクト」などの番組を手掛けてきた現在はフリーの小関道幸。小関と親交がある筆者は、取材の一部過程を同行させてもらい、竹内のことを取材した。
竹内の人生を追って、筆者が最も感じたことは、「運命を受け入れ、いかにそれを自助努力で乗り越えていくことの大切さ」であった。竹内の人生を以下に紹介して行きたい。