2016.02.10

あきれた東芝!存亡の危機に瀕してなお「長老支配の強化」に乗り出すとは

大赤字に紛れて、驚くべきことが発表された
【PHOTO】gettyimages

個室も秘書も車も付く待遇

粉飾決算の後始末に追われる東芝は2月4日、今年度(2016年3月期)の最終赤字が7100億円に拡大する見通しだと発表した。もちろん過去最悪の赤字決算である。このままでは自己資本が1500億円程度になってしまう見通しで、債務超過へ転落寸前。まさに存亡の危機に立たされている。

そんな大赤字の発表に紛れて、驚くべきことがしれっと公表された。社長、会長を歴任していまも相談役を務める西室泰三氏を「名誉顧問」に据えるというのである。

東芝では歴代の社長が相談役として残り、社長を上回る権力を持ち続けていたことから、コーポレート・ガバナンス(企業統治)上、問題が大きいと批判されてきた。これを受けて昨年夏に就任した室町正志社長が「相談役」を廃止する意向を示していた。

西室氏は昨年末で80歳。東芝の内規では今年6月末の株主総会で相談役の任期が切れることになっていた。その後は「特別顧問」に就任するのが既定路線だった。

室町社長は「公約」を果たすために相談役制度を今年6月に廃止する方針を4日に発表した。現在の相談役は西室氏と元会長の岡村正氏の2人。そのまま東芝との縁が切れるのかと思いきや、2人そろって「名誉顧問」に就任するという。名誉顧問は特別顧問の名称を変えただけで、個室も秘書も車も付く。

記者会見では、報酬については回答を控えるとしていたので、報酬も払っているのだろう。無報酬なら胸を張って無報酬と言うものだ。

岡村氏は6月に名誉顧問になるが、西室氏は3月に就任するという。というのも西室氏自身が昨年末の日本郵政の記者会見で「私の任期は来年6月までありますが、そこまで続けるつもりはありません」と大見得を切っていたからである。制度がなくなるわずか3カ月前に「辞任」した格好だけ付けるということだろう。

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