傷害・窃盗・大麻・地下銀行
首都圏の周辺には、すでに「外国人労働者の街」と化しているエリアもある。昨年上半期、外国人の刑法犯検挙件数は6610件。刑法犯全体の4%未満と、これだけを見ると必ずしも多いとは言えないが、実はベトナム人の犯罪件数が前年同期比で36%も急増している。
民家を改造して大麻を栽培する。本国への違法送金を格安で請け負う「地下銀行」を運営する……その手口は、単なる傷害や窃盗だけにとどまらない。物価の安いベトナム出身の労働者が、低賃金で過酷な労働をさせられ、耐えきれずに犯罪に手を染めるケースが増えていると考えられる。
「アジア系外国人労働者の中には、徹夜の肉体労働など、労働条件のよくない仕事に携わる人も多い。また、日本人の人手不足もあって、『留学生のアルバイトは週28時間以内』という法律の規定も全く形骸化しています。日本語学校の学費の支払いを逃れようと、退学して不法就労に走る者もいる」(前出・出井氏)
東京五輪が終わり、5年の月日が流れた2025年の日本では、各地でマンションの空洞化がさらに深刻になり、空き家率も20%を超えている。
半ば打ち捨てられた郊外のマンションや団地へ、中国の貧困層のみならず、東南アジアでも賃金が安いベトナムやカンボジア、バングラデシュなどからの外国人労働者が住むようになる—彼らに日本語は通じない。
「日本に出稼ぎに来る外国人が、皆日本語を勉強し、社会に溶け込む努力をするとは限らない。そういう人々が集まって、外国人だけのコミュニティがあちこちにできてしまうのです。
中国でも、北京など都市部の建物には、窃盗防止のため必ず金属の防犯ドアが付いていますが、日本にはそうした設備がないところも多い。外国人犯罪集団からすれば、日本は犯罪天国に見えるでしょう」(前出・矢板氏)
移民という「最後の手段」に手をかけた日本。2025年の治安は、年間に東京の2・5倍の殺人事件が起き、34倍の強盗事件が起きるニューヨーク以下に悪化していてもおかしくない。
「週刊現代」2016年3月26日・4月2日合併号より