2016.04.10
# 本

カラスはかわいい鳥です!! 「カラス萌え」の専門家が書いた入門書がおもしろすぎる

―カラスのペアは、くっついたり離れたりするんですか? 『カラスの教科書』でも、ハシボソガラスのα君とβちゃんのドラマがありました。

松原 その研究がないんですよね。捕獲が難しい。標識ができないし、つけても壊しちゃうんです。渡り鳥の小鳥など毎年入れ替わるものなら、事例も多くなるんでしょうが、カラスは寿命も長いし、20年くらいは結婚・離婚の観察を続けないと無理ですよね。誰もしてないです(笑)。

押しかけ女房が見つかったとか、愛人が入り込んで来ても、本妻が追い出さなかったとか、遺産相続でモメそうなケースが、最近カラスの研究で報告されてますが。そういうところまで落とし込めたら、カラスもきっと面白いんだけどなあ、と研究者仲間には言われますね(笑)。

―大人になると親鳥との縁は切れるんですか?

松原 巣立ったら切れちゃいます。巣立ちと独立は違うけど、完全に独立したら切れますね。夏に巣立って一月になってもまだ餌ねだってる奴もいますけど。

生き残るのはカラスも大変!

―巣立ちがぐずぐずするのはどこか人間にも似てますね。

松原 お前ひと月前に出てっただろう、というのが、ご飯食べられなくて、親たちの餌を食べに来ては怒られ、また出て行く。それも長くて半年。それ以上親子関係が続いたというのは聞いたことがないです。

おサルさんたちと鳥の社会がまったく違うのは、そこです。ニホンザルなんかの場合だと、親子関係、血縁関係はずっと引きずります。雌の一族が群れの中にいたりします。鳥にはそれがないです。

―大人になってもペアがつくれないカラスはいますか?

松原 非繁殖群を見てると、こいつ子供じゃないよね、口の中まで真っ黒で、2年は経っているよね〜、というふうにペアになってないのは結構あります。ペアになったはいいけど、実力がなくて縄張りがとれないのもいるはずです。繁殖出来る奴でも卵4個5個のうち、せいぜい生き残るのは2羽、巣立ったあとでもたくさん死ぬので、カラスの世界はきびしいですよ。

―生存競争のきびしいカラスにとって危険な時期とは?

松原 卵の間に孵らない、それから雛の間に餌が足りない、巣立ちで足折っちゃった、猫にやられた、で死にますね。さらに、独立したばかりのときに冬を迎えます。経験がない、地位が低いときに、最初の冬を越せるかという大きな試練がある。鳥の多くは、半分近くが最初の冬で死ぬと言われています。

春になれば繁殖が始まるので、それまでちょっとゆるかった縄張りがとたんにきびしくなります。そこでまた、やられます。ここまでくぐり抜けたカラスは、結構素質あります。運もあります。

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