2016.04.30

「絆す」の読み方、わかりますか? 2人の伝説的編集者が明かす人間関係の奥義

第13回ゲスト:松岡正剛さん(後編)
島地 勝彦 プロフィール

松岡 人で思い出しましたが、「絆」に「す」と送り仮名をつけると、どう読むか知っていますか、日野さんは。

日野 え、そこでわたしですか。んー、「きずなす」、なわけないか……。

島地 だからもっと本を読まないとだめなんだよ。「絆す」は「ほだす」だ。

松岡 絆が大切だというのはいいとしても、絆を結ぶ前に、「絆す」という過程が必要なんですよ。

島地 なるほど、さすがにうまいことを言いますね。今の人たちは人間関係を気楽なものに考えがちですが、本来はほだしたり、ほだされたりがあってはじめて関係が生まれるものです。わたしがシバレンさんたちとお付き合いできたのも、すっかり「ほだされたから」です。

松岡 島地さんもいろんな人を絆していると思いますが、日野さんもその一人?

日野 なんといいいますか、「ほだされる」という響きがちょっと淫靡でもあって、それにハイと答えるのは気が引ける部分がありますが……。

島地 まったく素直じゃないな、お前は。こっちはいつでもウェルカムなんだからな。

失われゆく「和のダンディズム」を残すために

日野 今回はいつもよりロングランになっていますが、どうも話が尽きないようですので、このへんでいったん水入りとさせていただきます。続きはお二人の気の済むまでどうぞ。中締めとして、松岡さんがこれからやっていこうとしていることを聞かせていただけますか。

島地 せっかく話が盛り上がってるのにまとめに入ってきたか。でもまあ、いくら文字制限のないウェブとはいえ常識的な範囲はあるからな。仕方あるまい。

松岡 そうですね、あえて一つあげるなら、島地さんはファッションも嗜好品も、洋のダンディズムを体現されているけれど、わたしは和のダンディズムを廃れさせたくないと思っています。

茶の湯、書、俳句、いろいろあるなかで、三味線が廃れたら和の文化は終わりだという認識が、なんとなく皮膚感覚としてあるんですね。どういう形になるかはわかりませんが、三味線だけは絶対になくならないよう、微力ながら知恵を絞っていきたいと思います。