2016.05.08
# 雑誌

震源から80km!「川内原発は安全」というウソ
〜フクイチの教訓が何も生かされていない

【熊本大地震】元原子炉技術者らが警鐘
週刊現代 プロフィール

河合 何百台もバスを用意して、まずは5km圏内の人が逃げて、他の人は家の中で待機する—そんなことが、大混乱の中でできるとは思えない。「怖いけど、我慢して待ちます」なんて人、いないでしょう。「5km圏内の住民は全員避難した」ということを、誰が調べに行くのかも分からない。

今回の大地震でも、九州新幹線が脱線したわけです。当然、自動車事故や渋滞も起きる。役所が考えた避難計画など絵空事だということが、この地震で明らかになった。それでも手を打たないんですか、と言いたい。

後藤 福島のときもそうでしたが、原発で過酷事故が起きれば、放射性物質の飛散状況や、原子炉の状態もよく分からないまま、皆がとにかく逃げるということになる。

現状の避難計画は、「事故が起きても原子炉はある程度コントロールできる」ということが前提ですが、本来ならば、最悪の事態を考えてこその避難計画のはずですね。

河合 そういうふうに本気で突き詰めていくと、原発が動かせなくなってしまうから、現実から目を背けているんですよ。そうでなければ、40年も前に作った高浜原発を、あと20年も使い続けようなんて狂った判断をできるはずがない。

真面目に考えると、原発なんてデタラメだと分かってしまう。だから原発を動かすには、「真剣にものを考えないこと」が必須になる。5年経ってもいまだに福島の事故原因を本気で究明せず、誰も責任を取らず、「大丈夫」「安心」と繰り返しているのがその証拠ですよ。

かわい・ひろゆき/'44年生まれ。東大法学部卒。ビジネス弁護士として活躍する傍ら、映画『日本と原発』『日本と原発 4年後』の製作など脱原発運動に携わる
ごとう・まさし/'49年生まれ。三井海洋開発を経て東芝に勤務し、原子炉格納容器の研究・設計に従事。東日本大震災後、原子力安全・保安院委員を務める

「週刊現代」2016年5月7日・14日合併号より

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