2016.05.13

総理、ホントに「給付型奨学金」創設を見送るんですか?

「一億総活躍社会」に最も効果的な一手なのに
大西 連 プロフィール

有利子の奨学金利用者が急増

日本学生支援機構の調査(平成26年度学生生活調査)によれば、奨学金を受けている大学生(昼間部)は約51.3%と、半数を超えています。

文部科学省作成の「奨学金事業の推移」によれば、奨学金を借りている人(貸与人員)は平成26年度で141万人(うち無利子45万人、有利子96万人)となっており、平成10年度が50万人(うち無利子39万人、有利子11万人)であることを考えると、この16年間で約3倍に増加していることがわかります。

そして、この期間、無利子の奨学金利用者は約40万人前後で推移していることからも、有利子で借りている人が爆発的に増加していることが見て取れます。

また、先述した日本学生支援機構の調査(平成26年度学生生活調査)によれば、大学昼間部に通う学生のなかで、「家庭からの給付のみで就学可能」と答えたのは38.3%のみであり、6割以上の学生が奨学金やアルバイト等によって学生生活を維持していることがわかります。

・大学生、奨学金よりバイト頼み 「卒業後の返済大変」:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASJ4M2H4CJ4MUTIL002.html

そして、同調査では、大学昼間部に通う学生の家庭の平均の年間収入額は824万円と比較的高く、24.4%が家庭の年収が1,000万円以上である一方、200万円以下の割合が10.9%であり、同200万円~400万円の割合は15.3%であるなど、低所得の家庭が多いことや、家庭ごとの所得の格差が大きいことが明らかとなりました。

学費の高騰や家庭の低所得化により、奨学金を借りる学生は増え、家庭の家計や仕送りはさらに厳しくなっている。そういった実態がうかがえます。

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