複数の愛人にマンション購入…製紙会社の総務部長が15年で25億円横領するまで

移動は「専属タクシー」、そしてギャンブル三昧
週刊現代 プロフィール

「羽染さんは動物のビーバーにすごくよく似ています。前歯が出ていてコソコソしている雰囲気がいかにもそれっぽい」

誰が見てもうだつが上がらない初老の男。そんな人物がどんな経緯で約25億円もの大金を横領するに及んだのか。

羽染容疑者は福島出身。もともと親会社である北越紀州製紙で働いていた。

ただし、出世コースからは外れていたのだろう。'99年、親会社から北越トレイディングに出向する。当初、同社の本社は東京にあり、容疑者も東京で勤務していた。

北越紀州製紙の報告書によれば、容疑者が横領を始めたのは、出向直後の'00年頃。

経理や財務を担当していた容疑者は、会社名義の小切手を振り出し、それを銀行で現金化するという手口で横領をしていた。当初は一度に300万~600万円程度を着服していたという。

小切手の振り出しには、銀行への届け出印などが必要になるが、当時の社長は非常勤。副社長も事業について詳細な内容を知らなかった。容疑者は口頭で説明するだけで、簡単に押印を受けられる状態だったとされる。

隠蔽工作は巧妙だった。小切手を振り出したままでは銀行からの借入額と帳簿の数字が合わなくなるため、架空の在庫や前払い費用を計上。その後、小切手のやり取りが財務に反映されないような工夫をしたうえ、虚偽の決算書を作成して銀行に提出していた。

横領金額が一気に膨れ上がったのは、北越トレイディングの本社が長岡市に移転し、容疑者も同市で暮らすようになった'09年以降。横領の額は一度に数千万円にまで跳ね上がった。

タカる女たち

こうして得たカネで容疑者は様々な贅沢をしていたようだ。知人の一人が印象深く覚えているのは、タクシーにまつわることだという。

「羽染さんは、ほとんどどこに行くにもタクシー移動。連日、タクシー事務所に『羽染だけど』と電話がかかってくるので、事務所では、彼からの電話のことを『羽染ブザー』と呼び、電話があるとすぐ駆けつけるようにしたそうです」

長岡では「東京から来た人」ということで、給料が余程高いのだろうと思われていたという。

そんな羽染容疑者が、リスクを冒して手に入れたカネをつぎ込んでいたのは、「女」だ。本誌が確認できただけでも、容疑者の周囲には複数の女性の影があった。

関連記事