環境を使って感情をコントロールする
環境を感情のコントロールに役立てたいのであれば、自分がどんな状況で、どんな感情になったかをよく観察しておく必要があります。
たとえば、「この場所で、この時間に、この練習をしているときはやる気が出る」ということがわかったら、その状況をもう一度つくってみると、やる気が出るようになるでしょう。
「どんな環境にいるとき、自分は緊張しやすいのか」
「どんな環境にいるとき、自分はリラックスできるのか」
といったことがわかっていれば、外部の環境を使って、感情にアプローチできるはずです。
「ゾーン状態」に入るために
僕は、いわゆる「ゾーン」と呼ばれる超集中状態に、何度か入ったことがあります。
ですが、あの状態を説明するのは、とてもむずかしい。
なぜなら、ゾーンとは、いつの間にか入っていて、気がついたときには終わっているものだからです。極端にいうと、気を失っているような状態でした。ゾーンの最中は、没頭のような、忘我のような、夢中のような状態で、走っているというよりも、気がついたら走っていたという感じです。
僕が覚えているのは、ハードルの上を鳥肌が立つほど鋭くすり抜けていくことと、足音が自分の身体の中で響いていることです。
それも、レース中にそれを感じていたわけではありません。走り終えてから、なんだか足音だけがやけにびんびん響いていたなという余韻が残っていただけです。