
今のリベラルは「負けが込んで」いる
おときた:今のリベラルの主体性のなさって、斎藤さんはどうしてだと思いますか?
斎藤:基本、負けが込んでるからだと思うわけ。負けが込むと、焦る。民進党は前身の民主党が2012年に政権から脱落して以来、選挙もずっと負け続けているし、秘密保護法とか、国会前でデモが起きるような案件でもずっと負けてきているでしょ。ここまで連敗すると、旧日本軍みたいになってくるんだよね。
おときた:突撃するしかない、と(笑)。もはや精神論の世界ですね。
斎藤:そう。ある種、今は精神論の世界になっていると思う。もともと精神論なところはあって、だから私、雑誌のコラムかなんかで、もっと前の選挙のときに“どうせ負けるのはわかっているが”って書いたら、もうすごいわけ。みんなから「これからする選挙に負けるなんて書くな!」とか言われる。だって、情勢見ればわかるじゃん!と思うんだけど、「言うな」と。それで毎回、「今度こそ勝たなきゃいけない」「これで勝たなければ日本は終わりだ」みたいなことを言うわけじゃん。
おときた:毎回、終わっていますよね。何度も日本が終わっている。
斎藤:そう、毎回終わるわけよ。毎回負けるじゃん。負けて、どうして負けたかって総括をきちんとやればいいんだけど、やらなくて、不正選挙だとか馬鹿なことを言うわけ。
おときた:“マジックを持って行こう運動”とかそうですよね。備えつけの鉛筆だと消しゴムで消されてしまうから、って。今回も鳥越さんの支持者がSNSで拡散しているのを見て、ドン引きしたんです。もう止めてください、という感じですね。
斎藤:ああいうこと言いはじめると、それってもうオカルトの世界になってくるわけでしょ。でも、オカルトにならざるを得ないほど、負けが込んでいるし、危機感が大きいってことだと思うのね。私も本来はリベラル側の人間だと思っているけども、リベラルはもっとちゃんと考えなきゃいけない。
毎回、「今度こそ勝つぞ!」と言っては負ける。ちゃんと総括をしないで、「安倍が悪い」だの何だの、ずっと悪口を言い続けている間に次の選挙になるわけです。そしてまた、「今度こそ勝つぞ!」と。それでやっぱり負けると、今度は「有権者が劣化している」とかね。それ言い始めたらもうダメですよ。これじゃあ、当たり前だけど負けるわな、って思う。
おときた:ダメですよね、人のせいにしちゃ。
僕は、しっかり対案を出せればいいと思っているんです。今、票になるような大きな議題って、やっぱり世代間格差しかない。なのに、蓮舫さんが就任早々に巣鴨の地蔵通りに行って「これからの社会は65歳以上が主役!」とか言っちゃうから、ズコーってなる。若い世代を軽視しているように受け取られかねないし、それだと「第二自民党」になるだけじゃないですか。
そっちに寄らずに、何をしたいのかというのを打ち出せないといけない。“反○○”じゃなくて、“推進○○!”みたいなことが必要なんですよね。
斎藤:ある意味、ポジティブシンキングというか。「これをやりますよ」という内容が魅力的じゃないと、そもそも投票する気にならないんだよね。
おときた:一応昔は、失敗してしまったけれど「コンクリートから人へ」というスローガンがあったんですよ。でも今はそういうのがない。反・安保、反・秘密保護法はいいとして、その先に何があるのか。「反○○」からその先の未来を描くようなアウトプットがあんまりないというのが現状だと思います。
斎藤:だから、前に民主党が勝ったときのことを思い出してみると、安倍さんが改憲手続法とかを作ってすぐに憲法を変えようとしていたときに、そうじゃなくて“国民の生活が第一”だ、って言った、あれはいいキャッチフレーズだったと思うんですよね。格差社会とかが問題になり始めたころだったから、やっぱりまずは生活だよねっていう、あれは効いたと思うんですよ。でも、それをすぐ捨てちゃうからさ。私はやっぱり、同じことを言い続けることも大事だと思うんだよね。
おときた:僕もそう思います。一貫性、というか。
斎藤:全部やろうとして失敗しちゃっているんだよね。「これだけはやるよ!」というのを、せめてきちっとやっていれば、結果は違ったはずなんですよ。「ごめん、全部はできないけど、これだけはやるから!」ということを宣言して、どんなに文句を言われてもそれをやり続けていれば、もうちょっと感じは変わったんじゃないかって思う。
おときた:「年金は守ります」「医療も守ります」「子育て支援も充実させます」、じゃあそのお金はどこから出てくるのってなったときに、「大企業の溜め込んでいるお金があって……」というパターンもありますよね。結局、そんなのないですよ、みたいな話に毎回戻ってくる。いつもこのテンプレート。
斎藤:やっぱり、負けの総括ができないのと同じで、プライオリティをつけられないんだよね。気持ちはわかるんだよ。余裕がなくなってくると、どうしてもそうなりがちだから。