15人の兵士が女性を輪姦…日本人だけが知らない南スーダンの惨状

米調査機関・アフリカ専門家が明かす
山田 敏弘 プロフィール

各国が女性を救出できなかった理由

簡単にスーダンの現状をおさらいしておきたい。南スーダンがアメリカのサポートを受けて、スーダンから分離・独立したのは2011年のことだ。世界で最も新しい国である南スーダンには誕生当時から国づくりを見守るために国連南スーダン派遣団(UNMISS)が派遣された。

だが2013年に、初代大統領のサルバ・キールが、リエック・マチャル副大統領と権力争いを始め、さらにキールの出身部族ディンカ族とマチャルの出身部族ヌエル族の有力部族同士の対立も激化し、国は事実上の内戦状態になり、現在も混乱は続いている。

南スーダンでは、政府の国庫も空になり、公務員や警察、兵士に給料すら支払えない状態にある。国内では2014年から戦闘に巻き込まれて5万人ほどが殺害され、250万人が家を追われた。殺害された多くが民間人だ。11万人以上がウガンダに逃れ、20万人以上がジェバやマラカル周辺の難民キャンプに押し寄せている。2016年7月にも、建国5周年記念日を祝う数日前から、武力衝突が起きている。

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冒頭のレイプ事件には続きがある。実は襲われた欧米人たちは、アメリカ大使館や2キロ圏内にいるPKO部隊に繰り返しSOSの連絡やメッセージを送っていたのだ。にもかかわらず、連絡を受けた中国、ネパール、エチオピアの部隊は救助要請を拒絶していた。その理由は、「現場があまりにも危険すぎる」というものだった。

ファム氏も、「南スーダン・キール政権の国民に対する完全なまでの軽視を考えれば、南スーダンのどんな国連のミッションも最悪のシナリオを想定する必要があります」といい、キール政権の暴状ぶりについてこう憤る。

「キール政権が国際社会に対してほとんど敬意を示していないことを忘れてはいけません。事実、ここ最近も、米大使館の副領事の車が、はっきりとアメリカ政府関連の車両だと分かるようにマークをつけていたのに、政府軍の部隊から2度にわたって銃撃を受けている。アメリカは世界で最も南スーダンに支援金を寄付している、にもかかわらずです」

 

日本の自衛隊は、そんな政府軍すら信用できない場所に、命をかけた任務に就くのである。ファム氏はその状況について悲観的だ。

「世界でもっとも新しい国家として独立してわずか5年、南スーダンは完全に破綻国家になった。指導者たちは国にあった財産を略奪してしまっただけでなく、民族的な分断を利用することで国をバラバラに引き裂いてしまった。そして自分たちが築き上げたがれきの山を支配するという野心を追い求めている」
 
さらにこうも主張する。

「結局、誰も本気で平和を望んではいないのです。指導者たちは、国民のために何かを達成しようということよりも、お互いを破壊することのほうに興味があるからです。お互いを破壊する能力すらないのに、そんな目的を持ったから、事態は泥沼化するのです」

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