2010.05.07
# 雑誌

灘高 元生徒会長 城口洋平の頭脳

本人は認めないが、世界一入社が難しい
IT会社の内定を断った伝説を持つ22歳

 リーマン・ブラザーズが潰れるという事件があったのは、そのあとです。これはかなりの衝撃で、その後、GMが潰れるというのがトドメでした。こんなことってありうるのかと。

東大生は機を見るに敏

 今年3月、城口氏は晴れて大学を卒業した。冒頭でも書いたとおり、在学中に立ち上げたIT企業ミログの経営に全力を注いでいる。城口氏の大学の先輩にあたるホリエモンこと堀江貴文氏も、在学中に起業しているが、城口氏にはユニークなホリエモン論がある。

 堀江さんは僕らにとっては「織田信長」なんです。堀江さんを肯定するといろいろな意味で叩かれるかもしれないけれど、IT業界と経済界に風穴を開けたという彼の功績は大きかったわけで、誰も否定できないと思います。

 もちろん、いろいろな軋轢(あつれき)や恨みが少なからずあったのだと思いますが、たとえば東大や東工大などに学生発ベンチャーを応援する産学連携のユニットができたのは、堀江さんの影響もある。だから彼がいなければ、今の僕らもいない。

 ただ、僕らはそのあとの徳川家康世代だと思っています。

東京・目黒区にある株式会社ミログのオフィス

 僕らがやらなければならないのは、上の人が築いてくれたレールに乗って、100年、200年続くような仕組みを、しっかりつくっていくこと。自分の会社の成功だけじゃなくて、若い挑戦者も育っていけるような風土、成功したら称(たた)えられるような風土をつくることだと思うんです。

 リーマンショックのあと、東大生の志向もガラリと変わりました。以前は就職先としてもてはやされていた外資系金融への就職希望者が完全に影を潜め、僕らの年には官僚受験者が倍になった。法学部から外資系に行ったのは、最終的にはたった1人でした。

 このままでは日本は沈没すると本気で憂い、どうにかしなければと考えている同級生がたくさんいます。先日の卒業式の日にも、そういう法学部の同級生たちと、日本を救うためにはどうしたらいいか、朝まで熱い議論を交わしました。

 ひとつ忘れられないのが、灘中の1年の社会の授業で、日本のGDP(国内総生産)は10年後には中国に抜かれ、25年後にはインドネシアに抜かれると教えられたこと。中学生ながら、中国はまだ理解できるとしても、まさかあのインドネシアに・・・と、強い危機感を覚えたものですが、今まさに現実のものになってきました。

 実感としてですが、IT業界では、中国はすでに日本のずっと先を進んでいます。アメリカよりすごいかもしれません。中国はもはや日本にとって「追い越される脅威」などではなく、「挑戦すべき目標」です。そこで今、僕の会社も「百度(バイドウ)」という中国最大手のサーチエンジン会社と様々な形での協力態勢を模索しているところです。

 現在の事業の柱は、掲示板などのサイトを監視するフィルタリングや、mixiなどのソーシャルアプリです。これからは、来年はアイフォンの出荷台数を抜くといわれているグーグルのスマートフォン端末、「アンドロイド」を軸に、日本が世界に誇るアニメ、コミック等のコンテンツを世界に配信していくビジネスを構想しています。

 かつての「華僑」のように、「和僑」として誇りを持ちながら海外で実績を積み、日本人のための懸け橋になる―それが僕の夢です。

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