2017.04.14
# 地震・原発・災害 # 社会問題

ときどき死にたくなるあなたへ…坂口恭平の新政府総理談話(1)

熊本大地震から1年が過ぎて
坂口 恭平 プロフィール

絶望の向こう側

突然、見知らぬ人に「死にたいんです」と言える場所を僕は他に知らない。いのちの電話がまったくつながらない今、09081064666 はもしかしたら唯一の場所なのかもしれない。

09081064666 にかけて実際に話をした人が自殺してしまった、ということも聞かない。だから、この電話につながると死ねなくなるのかもしれない。

それがいいことなのかわからない。でも、僕はやっぱり「自殺しないでよかった」とときどき思う。

「死後の世界なんか、誰も知らないのに、逆に死ぬことはリスキーなのではないか」

妻にそう言われ、僕はそんな考え方もあるのかと驚いた。

確かにそれも一理ある。

09081064666 は前向きに生きていくことができる、健全な状態に治る、ための空間ではない。僕も希望を持っているわけではない。そうではなく、むしろ絶望のその向こうには何があるのかということに関心がある。

繊細な人が鈍感になっても仕方がない

この際、あきらめて繊細な人生とは何かを追求したほうがいい。

09081064666 はそんなことを考える空間である。

これは自殺したいと思っている人に向けて書いた文章だ。

(c) Kyohei Sakaguchi

逃げることしかできない

九州大震災から1年が経った。

2016年4月14日の前震の瞬間、僕は出張で東京にいて、熊本の妻とちょうど電話をしていた。心配になって翌朝、熊本に帰った。そして家族との再会に胸をなでおろしたのもつかのま、その晩の午前1時過ぎ、震度6強、マグニチュード7.3の本震を被災した。

そのときの顛末はこのサイトに「熊本脱出記」としてアップしたので、読んでくれた人もいるかもしれない(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48475)。

16日の夕方に避難所で鬱になり、その場にいられなくなった僕は家族と一緒にタクシーに乗って、福岡に避難。翌日、妻の実家の横浜へ行き、そこで2ヵ月ほど避難生活をした。

福島第一原発が爆発し、2011年3月15日に東京を家族と脱出した僕は、今度は熊本で地震があったので関東へ向かったのだ。そのことについて、批判もあった。

知るか、そんなこと。

 

僕はただ逃げることしかできない。危険からはただちに逃げること。我慢することが一切できないのである。

我慢こそ僕の体には敵だ。やりたくないことをやっていると頭がおかしくなってしまうのである。

そんなわけで、会社で働くこともできない。人の依頼に応えることがどうしてもできない。自分勝手だなとは思うのだが、仕方がない。そうやるしか生きられないのである。

だから僕は、何か生理的におかしい、居心地が悪い、その場にいたくないと思えば、ただちに逃げる。迷うことなく、逃げる。

逃げて、逃げた先で、ある程度、安全を確保した状態で、これからのことを考えるほうが僕にとってはやりやすい。勝手に逃げろ、である。

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