東芝の最高幹部が全部明かした「いま、社内で起きていること」

上場廃止は刻一刻と近づいている?
週刊現代 プロフィール

これはチキンレースだ

今回、東芝の最高幹部の一人が本誌の取材に応じて、知られざる「バトルの内幕」を明かした。以下、その最高幹部との一問一答である。

――WDの思惑通りに進みつつある。ミリガン氏に押されているのでは。

「われわれは普段からシリコンバレーなどの人間と接してきたが、ミリガン氏はまったく違うタイプだ。ウォール街の人間と折衝しているような印象だ。野望に満ちている」

――ミリガン氏はなにを主張しているのか。綱川社長は今年に入って、何度もトップ会談をしているが。

「ミリガン氏が主張しているのは、マジョリティを取りたいということだ。要するに、東芝メモリのマネジメントを握りたいと言ってきている。

実は、昨年にWDがサンディスクを買収した時から、先方は不満を持っていたようだ。四日市の半導体工場はうちとサンディスクの合弁会社で運営してきたが、その出資割合はうちが50.1%で、サンディスクが49.9%。

ミリガン氏からすればサンディスクを買収したものの、主導権を東芝に握られたまま自分たちがイニシアティブを持てないのがもどかしかった。それを一発逆転させようと、われわれが危機に陥っているこの機に乗じて一気に攻め込んできている」

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――WDが提案している買収案をなぜ受けいれられないのか。

「(提示額が)安すぎる。それにWDが主張するようにマジョリティを握った場合、独占禁止法に抵触する恐れがあり、その判断のために事態が長期化しかねない。

実際、われわれは6月中には入札者を決定して契約を進めて、定時株主総会ではその概要くらいは発表したいとのスケジュール感を持っていたが、それはもはや無理になっている。

一方、WDは我々が資金調達できない状態を長期化させれば、いつか東芝がギブアップすると踏んでいる。彼らがいかに条件の悪いプランを提示したとしても、いずれ東芝はその案をのまざるを得なくなると待っている。要は、チキンレースを仕掛けてきている」

――情報合戦も激しくなってきていると聞く。

「ミリガン氏の来日時、我々は発表していないのに、いつもメディアは知っている」

――今後はどうするのか。

「入札作業は続けていくが、WDとも落としどころを探っていくしかないだろう。WDが言っている独禁法の当局者をねじ伏せるやり方がどういうものかはまだ教えてもらっていないが、その内容を聞きながら、彼らをどこまで入れるか考える必要も出てくる。

マジョリティは獲らせないが、5%以下や20%以下という水準ならばあり得る」

 

実際、いま東芝の入札に参加している陣営は左上の図の通りだが、「米KKR+産業革新機構など」の日米連合にWDが合流するというプランが最有力と言われるようになってきた。

当初、WDは候補にも上がっていなかったことを考えれば、ミリガン氏の高等戦術によって見事に一発逆転できそうなわけだ。

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