2017.06.20

アメリカのパリ協定離脱を日本とEUが非難できない「本当の理由」

大きな声では言えないけれど…

各国首脳の慰留を完全無視

トランプ米大統領によるパリ協定からの正式な離脱表明に世界的な批判が広がる中で、6月12日に2日間の日程を終えて閉幕した主要7ヵ国(G7)環境相会合(イタリア・ボローニャ)は、米国批判を封印した弱腰の共同声明を採択するにとどまった。

世界第2位のCO2排出国である米国が、世界的な温暖化ガス排出削減の枠組みから離脱するのは、京都議定書からの離脱に続いて今度が2回目だ。

中国やインド、ロシア、ブラジルといった他の温暖化ガス排出大国の追随を誘発しかねないだけでなく、オバマ前米政権が国際公約した温暖化ガス排出削減のための資金援助(30億ドル)が拠出されず、多くの発展途上国の対策が実現しないおそれもある。

影響の大きい国際的な信義則違反に対して、なぜ、G7加盟の日本とEU諸国が批判の声をあげなかったのか、その背景を探ってみよう。

 

発端は、今月1日のトランプ大統領の声明だ。

同大統領はホワイトハウスで声明を読み上げて、「(パリ協定は)非常に不公平」であり「米国に不利益をもたらし、他国の利益となる」などと、昨年の米大統領選挙の公約である「パリ協定からの離脱」は正当なものだとあらためて宣言した。

宣言に先立つ5月末の主要国首脳会議(タオルミナ・サミット)で、日本や欧州各国の首脳たちが行った慰留は、トランプ大統領にあっさりと無視されたわけだ。

同大統領には、コミー前FBI(連邦捜査局)長官の議会証言で、ロシアゲート問題をめぐるトランプ大統領の司法妨害の疑いへの関心が高まる中で、コア支持者の離反を防ぐ思惑があったとされる。

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