【徹底調査】人口減少ニッポン・あの大企業はどうやって生き残るか

トヨタ、金融、サントリー…それぞれの対策
週刊現代 プロフィール

越境進出、共存戦略、業態転換……。見てきたように人口減少に対応すべく、企業はあの手この手を繰り出しながら、生き残りに必死になっている。一方で、人口減少を逆手にとって、積極果敢に攻め込もうという企業も出てきた。

 

証券と生保が喰い合う

野村グループCEO(最高経営責任者)の永井浩二氏は言う。

「2025年には『団塊の世代』がすべて75歳以上となり、社会保障費の公費負担への依存に限界がくるため、国や制度に頼るのではなく、『自分の老後は自分で守る』という気運が広がってくる。

また、投資の世界では『インフレ時には有価証券で、デフレの時はキャッシュで』が鉄則で、日本の投資家はこれを忠実に守ってきたが、長い目で見れば、デフレが終焉しインフレ期待が高まることで『貯蓄から資産形成へ』と流れが変わる。

そうした中、資産形成層に対しては、長期に亘る積立型の投資を通じて広く投資のメリットを実感して頂けるよう、金融・経済知識の普及や各種マーケティング活動等にこれまで以上に積極的に取り組んでいく。

また当社は慶応義塾大学と共同で『長寿・加齢が経済及び金融行動に与える影響(ファイナンシャル・ジェロントロジー)に関する研究』プロジェクトを立ち上げ、金融分野での老齢期及び老齢化のプロセスの研究を始めた」

高齢社会では社会保障制度が崩壊するため、自前での資産運用ニーズが高まり、そこに商機が出てくるということ。明治安田生命保険の根岸秋男社長も言う。

「国内生命保険市場においては、少子高齢化の進展による生産年齢人口の減少などにより、死亡保障へのニーズは中長期的に縮小すると予想しています。

一方で、高齢化・単独世帯化の進展、女性就労率の上昇、公的年金制度の所得代替率の低下などにより、医療・介護分野や貯蓄性商品に対するニーズがさらに高まり、生命保険会社への期待はますます大きくなるとも考えている。

これらをふまえると、今後10~20年のスパンで、国内生命保険市場が縮小するとは考えていない。

当社としては国内生命保険マーケットでは、『高齢者・退職者』『女性』『第三分野(医療・介護など)』『投資型商品』を4つの重点マーケットと位置付け、積極的に商品・サービスを提供する。

具体的には高齢者・退職者向け新商品の開発、女性向け商品・サービスの提供、投資型商品(外貨建て保険)の提供、健康情報等を活用した商品・サービスの研究・開発などに取り組んでいく」

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当然、これからは資産運用ニーズを証券会社と生命保険会社がガチンコで取り合うことになる。

熾烈な生存競争は始まったばかり。どんな大企業であっても、生き残れる保証はない――。

記事中のグラフはともに『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(講談社現代新書)より

「週刊現代」2017年7月1日号より

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