6歳も年下の安倍首相をずっと支えてきた。それなのに、たった一度の失敗で責め立てられ、支持率の低下まで自分のせいにされた。やってられるか、それが決して口にはできない「本心」のようだ。
美人記者の質問に怒り心頭
「6月8日の会見の後、菅(義偉)官房長官はカンカンに怒っていたようです。通常会見後は菅さんの囲み取材があるのですが、その日は囲みをやらずに直接、執務室に駆け込んでしまった。
私は翌週も会見に行きましたが、さすがの菅さんも疲れているような感じでしたね。これは私の想像ですが、『あんなみっともない会見をして』と周りから色々言われたんじゃないでしょうか」
こう語るのは東京新聞社会部の望月衣塑子記者。加計学園問題などに関して執拗に質問をくり返し、菅氏を容赦なく問い詰める場面はテレビのニュースでも報道され、話題になった。
通常、官房長官の会見は番記者たちによる「お行儀のよい」予定調和な質問が続くのだが、8日は望月氏ら社会部記者が「乱入」したため勝手が違った。
何度質問を受け流しても食い下がる望月氏に、菅氏は苛立ちを隠しきれず、苦虫を噛みつぶすような笑みを浮かべた。
「会見場に社会部記者が入ることで不協和音が生まれました。私の質問は長くてしつこいので、官邸記者からすると『あまりに非常識』。
でも私は国民が本当に聞きたいと思っていることを正面からぶつけただけです。菅さんは、私のような記者は初めてだから面食らったと思いますが……」

結果、翌9日には安倍首相の指示で問題文書の再調査が決定し、15日の午後には文科省が調査結果を発表するに至った。面子をつぶされた菅官房長官が、望月氏のスキャンダルがないか身辺調査を命じたという噂もある。
件の会見に限らず、菅官房長官が感情を露にする場面が増えている。5月25日の記者会見では、前川喜平前文科事務次官を「地位に恋々としがみついていた」と評した。
その口ぶりは、冷静沈着で「ダース・ベイダー」とも綽名される長官にしては珍しく激烈な調子を帯びていた。
自民党関係者の弁。
「菅さんは、その1週間前にも、獣医学部開設は『総理のご意向』と書かれた記録文書のことを『まったく、怪文書みたいな文書じゃないか』と強気で否定しました。
さすがに誰が見ても公式の文書を頭ごなしに『怪文書』呼ばわりしたのはビックリしました。おそらく、このときすでに前川氏が加計問題で反撃に出ることがわかっていて、苛立ちを抑えきれなかったのでしょう」