2017.07.04

破綻したタカタを最後まで追い詰める日本自動車業界の「いじめ体質」

問題はまだ終わっていない

負債総額がいまだに見えてこない

自動車部品大手のタカタが、エアバッグの異常破裂問題に端を発した経営危機に沈んだ。6月26日に、東京地裁に民事再生法の適用を申請、これを受理された。

タカタは今後、中国系の米自動車部品会社キー・セイフティー・システムズ(KSS)の傘下に入り、もう一つの収益の柱であるシートベルトなどを中心に、再建をめざすという。

タカタ問題では、新聞各紙が報じている通り、早くから同社製のエアバッグに欠陥製品疑惑が浮上していたにもかかわらず、米政府やマスコミへの対応の遅さや拙さばかりが目立った。こうした対応が、同社の苦境を増幅した感は拭えない。

また、行政や自動車メーカーが依然としてエアバックの経年劣化問題に手をこまねいており、消費者のための部品の定期交換制度がいまだに確立されていないことも大きな問題だ。安全確保の視点が抜け落ちている。 

加えて、民事再生法に基づく再建策づくりが本格化する中で、筆者が注目しているのが、負債総額をめぐるマスコミの下馬評と、タカタ自身の認識のあまりにも大きなギャップだ。

負債総額が1兆円を超えてわが国の製造業者として過去最大の倒産劇になるというマスコミ報道と、同社自身が26日に発表した今年3月末の負債総額(約3800億円)を単純に比べても、実に3倍近い開きが存在する。この大きな格差にこそ、タカタの直面した自動車業界の闇の深さが潜んでいるのではないだろうか。

 
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