2017.07.11
安倍首相がキーマンに!?「トランプ抜きTPP発効」が見えてきた
日欧EPA合意で潮目が変わった経済外交における最大級の成果
日欧EPA(経済連携協定)交渉が大枠合意に達し、EU側の工業製品の関税撤廃が2019年から段階的に実現することになった。40年近く続いてきた”不平等条約"状態が、これでようやく解消されることになる。
予備交渉の開始合意(2011年5月)から数えて6年2カ月、大枠合意までにあまりに長い時間がかかった。また、関税撤廃が実現するまでには、まだ長い道程を要する品目もが存在する。そういう意味では、今回の合意を手放しで喜ぶわけにはいかない。
しかしそれでも、安倍政権の経済外交としては、トランプ米大統領による離脱宣言で空中分解の危機に瀕しているTPP(環太平洋経済連携協定)交渉の基本合意(2015年10月)と並ぶ、最大級の成果であることは間違いない。
とりわけ、日本の自動車メーカーにとっては、大きな福音となるだろう。ここしばらく、日本車は、EU向けの輸出関税の撤廃を先駆けて実現した韓国車の攻勢にさらされてきたからだ。
次の課題は、今回の成果を活かして、まずは米国抜きでTPPを発効させ、それを米国のTPP復帰につなげることである。台頭する保護主義の圧力を抑えて、自由貿易の国際的な枠組みを拡大できるか。待ったなしの懸案に立ち向かう果敢な姿勢を、日本政府に期待したい。