トランプ政権の切り札は「日本にシェールガス爆売り」だった!
貿易赤字削減で何もかもうやむやに…貿易黒字減らしの圧力が…
ロシアゲート問題をめぐり、トランプ米大統領の家族とロシア政府による共謀の疑いが急浮上するなか、トランプ政権はコア支持層のつなぎ止めを狙うかのように、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)や地球温暖化対策に関する国際協定(パリ協定)からの離脱に続き、新たな保護主義的通商政策を打ち出した。
USTR(米通商代表部)のライトハイザー代表は7月12日付の書簡で、韓国政府に対して、オバマ政権下の2012年に発効した米韓FTA(自由貿易協定)の再交渉を正式に要求した。
さらにトランプ大統領自身が同日、フランスに向かう大統領専用機内で記者団を前に、鉄鋼貿易で「中国だけでなく各国が数10年にわたって不当廉売を行い、我々の鉄鋼産業を破壊してきた」と批判。対抗措置として、日本を含む貿易相手国に「おそらく(関税と輸入割り当ての)両方とも課すだろう」と宣言したという。
日米間の経済問題は、今後数ヵ月かけて麻生太郎副総理兼財務大臣とペンス副大統領をトップとする会議で協議・整理していくことになっている。
しかし、民営化直後のNTTによる米製スパコンの買いつけや、東芝による原子力会社ウエスチングハウスの英企業からの買収、プラザ合意後の為替調整など、過去にくり返されてきた乱暴な貿易黒字(=米国の赤字)減らしを、ふたたび日本が回避できなくなるのではないか、との先行き懸念が一部で浮上し始めた。
そうした向きが特に懸念するのは、とどまるところを知らない積極投資で供給過剰状態を招き、国際的なエネルギー市場のかく乱要因になっている米国産シェールガスを、日本政府や企業が高値で買い取らされる可能性があることだという。
仮にシェールガスの大量輸入が現実になれば、原子力と石炭火力発電をベースロード(=安定的に低コストで供給できる)電源の柱としてきた安倍政権のエネルギー政策を揺るがしかねない。その動向は高い関心を集めることになりそうだ。