夢のあるプロジェクトに、みんなで少しずつ資金を出して、成功に導く「クラウドファンディング」。うまくいけば、これまで世の中になかったおもしろい商品が手に入る――。
気軽に参加でき、心も躍る新しいサービスとして急速に広がる一方、そのリスクはまだまだ知られていない。今年破綻した「そらゆめ」の例から、クラウドファンディングとの付き合い方を弁護士の荘司雅彦氏が解説する。
「クラウドファンディング破綻」の衝撃
モバイル向けゲームコンテンツの企画・開発を手がけ、人気ゲーム「ひぐらしうみねこカードバトル」などを提供していることで知られる「株式会社そらゆめ」が倒産し、破産手続き開始決定受けていることが話題になっています。

負債総額2億4100万円と、決して大規模倒産でもなければ、一般的な有名企業でもない企業の倒産が注目を集めている理由は、同社が「CROSSクラウドファンディング」というクラウドファンディングのプラットフォームを運営しており、同プラットフォームも破綻してしまった点にあります。
そもそも、クラウドファンディングとはどのようなものなのでしょうか?
あらたまって言えば、クラウドファンディングとは「ある目的を持った事業法人や個人に対し、インターネット上のプラットフォームを使用して、不特定多数の出資者が集まって資金提供を行うこと」を指します。
このように定義されてもピンとこない方もたくさんいると思われますので、参考として、大手のプラットフォームであるレディーフォー(READYFOR)のサイトを見てみましょう(外部リンク:別ウィンドウが開きます→https://readyfor.jp/)。
同サイトには、様々なプロジェクトが紹介されており、「支援総額」「残り日数」そして「達成率」が表示されています。
これら、クラウドファンディングのプロジェクトは、大きく分けて「寄付型」「購入型」「金融型」の3種類があり、金融型の中には「貸付型」「ファンド型」「株式型」があります。
「寄付型」というのは、災害援助のために寄付や事業や人を応援するためにネット上で多数の人々から広く寄付を募るもので、原則として対価としての見返りはありません(「ふるさと納税」のように返礼品がもらえるケースもありますが……)。
「購入型」というのは、制作された商品などを資金提供者が対価として得られるもので、”対価契約”であるという点で「寄付型」と大きく異なります。
「金融型」は、ネット上で広く集めた資金をスタートアップ企業等に貸し付けるものや、集めた資金を同じようなスタートアップ企業等に株式として出資するものであり、銀行等金融機関の業務に近い性格を有しています。