いま日本に必要なのは徴兵制じゃない…徴父制だ!
この国の子育てを救う最終手段カリスマホストがITを駆使して子育てに励む抱腹絶倒の育児小説『キッズファイヤー・ドットコム』を刊行した作家・海猫沢めろんさんに、ご自身のハードな育児体験をふまえて、世の父親たちに緊急提言してもらった。日本の悲惨な子育てを変えるにはこの一手しかない!?
どんな屈強な男でも…
男が出産前にゲットするべき三種の神器SSDのついでにもう一つ、男子であるぼくから世の中の父親に言っておきたいことがある。
それは、
男の育児は「とりあえずワンオペ」から
である。
もし育児にちょっとでも協力する気があるなら(ない場合は離婚訴訟で慰謝料を払う準備をしたほうがいいだろう)、まず子供と二人きりですごしてみてほしいということだ。
男性は女性に旅行に出かけてもらうとか実家に帰ってもらうとかして、ひとりで3日くらい子供の面倒をみてみると良い。会社員なら金曜日夜から日曜までとかでもいい。とにかく完全なワンオペをしてみてほしい。
そうするとどうなるか。
気が狂いそうになるのである。
これはマジでヤバイ。
子供の機嫌によってはおんぎゃあが止まらないときもあるし、ついでにゲロが止まらないときもある。おまけにこっちのスケジュールなどおかまいなしにすべてをぶち壊してくるうえに、会話も通じない。
モンスタークレーマーなど生易しいものだ。壊れたおもちゃかと思うくらいしつこい。聖人かよほどの赤ちゃん好きでない限り耐えられない。どんな屈強な男でも8割は音を上げる(当方調べ)。

それでも感情のスイッチを切って育児機械になり、ミルクとおむつとだっこを繰り返す。それが男の育児だ。
適性とかそういうものではなく、やるしかないのである。母性とか父性とかそういうものはどうでもいい。人類には最初からそんなものはないと思ったほうが良い。
とにかくやれ。
体育会系の男がよく言うセリフなので、マッチョな男はきっとやれる。必ずやれる。とにかくやれ。
このような地獄のワンオペだが、3日だけでもやると産後の女性の苦労に共感できるようになる。
理解とかではなく「共感」であることが重要だ。
そう、頭で理解ではなく心で共感しなくては人は動かない——これはビジネスでも同じだ。世の中の大企業は、善きビジネスマンを増やすためにも男子のワンオペ育児を推奨すべきだろう。