2017.09.04
# アパートローン

絶対儲かるといわれたアパートローン「私はこうして破産した」

銀行員の言葉に ダマされて
週刊現代 プロフィール

中には、アパートローンに手を出したことで、住む場所さえ奪われ、破産状態に追い込まれた人もいる。

千葉県内の某市。広告代理店の社員でデザイン系の仕事をしていたCさん(60代)が、賃貸住宅管理戸数上位の不動産会社D社と契約したのは'92年のことだった。

「アパート経営でうまくいっているという知人の話を聞き、老後資金のためにD社の営業所に相談に行ったんです。営業マンには、『ウチは常に満室を維持するノウハウがあるうえ、買値での買い戻し補償が付いているから、絶対安心です』と言われました」(Cさん)

買い戻し補償とは、築後5~10年の間で、契約を解除したくなった場合は、物件購入時の価格で不動産会社側が買い戻すというもの。

「賃料の保証があるうえに、いざとなれば解約もできる。確かにこれなら安心だと思った」(Cさん)

結局、Cさんは土地と建物の合計で約6100万円を業者から3000万円、銀行から3000万円それぞれ30年ローンで借り入れた。

バブル期で高金利だったこともあり月々のローン支払いは約43万円。家賃保証の額は40万円。約3万円のマイナスだが、完済した後に家賃収入がまるごと入ってくれば良いと考えていた。

 

ところが、実際には、営業マンから説明を受けていたように順調には推移しなかった。

「不景気が続き、だんだん空室も増えてきた。不安になり、契約から7年で買い戻し補償を行使しようと思い手続きに入ったところ、業者からいきなり『Cさんには買い戻し補償は付いていない』と言われて驚きました。

営業マンも買い戻し補償がついていることを前提に話をしていたはずで、それがなかったら契約するわけがなかった。

もちろん、書面にその条項をきちんと残さなかった私にも落ち度はあります。当時契約した担当営業マンを血眼になって探したものの、会社に聞いても『もう辞めている』の一点張りで、行方はわかりませんでした」(Cさん)

自宅まで差し押さえられて…

その後、Cさんを待っていたのは、やはり前出のAさんと同じ「家賃保証」の減額の通告だった。

「毎月40万円の支払いを受けていましたが、10年目を過ぎて突如『17万円に減額する』と言い渡されました。ローンの支払いが月43万円あるうえ、修繕など様々な費用が重なるため、赤字になるのが目に見えていた。

毎月膨らんでいく赤字にたまりかね、今度は買い戻し補償について改めてD社に相談に行くと『そんなこと、契約を取るためにうまくやるのは当然でしょ』と他人事のように言うのです」(Cさん)

途方にくれていたCさんは結局、銀行に購入物件を差し押さえられてしまった。

その後も、銀行に対し月1万5000円程度のほそぼそとした返済を続けていたCさんだったが、昨年の7月頃、「返済額を引き上げて欲しい」と要求される。その額は、月8万円に上ったという。

「いまの私にはそんな金額を支払う余裕はなく、ついには自宅まで差し押さえられてしまった。老後の資金を確保しようと始めた不動産投資で、私はすべてを失ってしまったのです。いったい、これからどうやって暮らしていけばいいのか……」(Cさん)

いま、弁護士事務所や消費者センターには、こうしたサブリースの賃料大幅減額による窮状を訴える相談が、日に日に増えている。だが、地銀はアパートローン貸し出しの手を緩めることはない。

「企業への貸し付けが右肩下がりの地銀にとって、アパートローンはいわば最後の『金脈』。

とりわけ、スルガ銀行、静岡銀行、オリックス銀行の3行は不動産融資への力の入れ方が半端ではなく『アパートローン御三家』と呼ばれている」(前出・大手地銀関係者)

貸し付けられるなら、顧客の将来のことなど二の次。銀行の無責任な姿勢は日銀も問題視している。今年4月には、〈これまで以上に審査や管理を綿密に実施することが重要〉と異例の「警告」を行っている。

老後の資金づくりのつもりが、全てを失ってしまった――。そんなことにならないよう、「甘い誘い」には十分用心しなくてはならない。

『週刊現代』2017年9月号より

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