2017.08.08

トヨタとマツダが資本提携に踏み切った「やむに止まれぬ事情」

実は、国家レベルの利害衝突が背景に…

「積極的な挑戦」はあくまで一側面

豊田章男・トヨタ自動車社長と小飼雅道・マツダ社長は8月4日、そろって都内で記者会見し、連携強化のため、従来の業務提携から資本提携にステップアップすることに合意したと発表した。それぞれが相手方に500億円ずつ出資する。

提携強化の目玉は、4年後をめどに米国で新たな合弁の製造工場を稼働させることだ。豊田社長は、「(今年初めに米国生産の拡充を迫った)トランプ米大統領の発言はまったく関係ない」と否定したものの、保護主義化する米国で持続的なプレゼンスの拡大を狙っていることは明らかである。

また、具体的内容は今後詰める段階だが、EV(電気自動車)の共同技術開発を協力分野に盛り込んだことも重要だ。

マツダの小飼雅道社長提携を発表するマツダの小飼雅道社長 photo by gettyimages

この背景には、米、英、仏、中、印など自動車市場の大きな国々で、両社が強みを持つハイブリッド車を含むガソリン車やディーゼルエンジン車などを締め出す動きが加速していることがある。

しかし、これらの施策は地球温暖化対策(CO2の排出削減策)として見た場合、勇み足で逆効果になりかねない乱暴な政策だ。トランプ大統領の保護主義とさほど変わらない、筋悪の政策にふり回されているのが実情と言っていい。

両社の資本提携には、自動車のコネクテッド化(常時通信機能を装備すること)、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)化、自動運転化といった歴史的なイノベーションへの前向きなチャレンジという積極的な側面と同時に、拙速な諸外国の規制で守勢に立たされ、やむにやまれぬ側面があることを抑えておきたい。

 
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