「エアバッグ問題」国交省と経産省の見て見ぬふりこそ大問題だ
遅すぎる対応、日本車いじめ…国交省も経産省も「見て見ぬふり」
製造業として戦後最大の負債を抱えて破たんしたタカタの欠陥エアバッグ問題で、国土交通省は8月30日、リコール(回収・無償修理)対象にもかかわらず、いまだに未改修で異常破裂するリスクが残るエアバッグの搭載車(約170万台)について、来年5月以降、車検の有効期間を更新しない方針を決めた。
タカタの欠陥エアバック問題では、世界各地で少なくとも18名の死者が出たとされる。今回、国交省がリコールの徹底策を打ち出したのは当然のことだろう。むしろ、遅きに失した感さえある。
しかし、果たして欠陥製品のリコール徹底だけで対応は十分なのか、首を傾げざるを得ない。というのも、すべてのエアバッグは、いざというときクッションのように膨ますために(種類は違えど)火薬を使っているからだ。
ご存じのように、火薬は水分、湿気に弱く、経年劣化が避けられない。つまり、火薬の種類によって程度の差はあるものの、製造から時間が経ったエアバッグには異常破裂や不作動といったリスクが付きまとうのだ。このリスクを軽減するためには、主要部品の定期交換の必要性を周知徹底することや、関連するルール作りが不可欠だ。
ところが、この火薬の経年劣化問題については、国交省はもちろん、火薬類取締法を所管する経済産業省も素知らぬ顔を決め込んでいる。
しかし、この問題が大きな政治、社会問題となっていた米国において、自動車メーカーと自動車オーナーの間の集団訴訟でようやく和解が成立するなど、日本が対策を先行させることのデメリットも乏しくなりつつある。
いまこそ、これまでより踏み込んだ抜本的事故防止策の構築が両省の責務であると言えよう。