「やる気スイッチマン」の犯罪
自称「思春期カウンセラー」の男が、児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑で逮捕された。
報道によると、出会い系サイトで知り合った女子中学生に金銭を渡す約束をして、性的関係に及んだという。また、自分の「身分」を利用して、相談に乗ると語って近づいたという報道もある。
本人のウェブサイトを見てみると、思春期問題、不登校、引きこもり、発達障害などの専門家だと自称し、「やる気スイッチマン」を名乗って活動していたことがわかる。
「思春期の子どものやる気が私の人生のテーマ」と述べ、悩み相談、講演会、家庭教師などを幅広く行っていたようである。また、思春期問題関連の著書も多く出版している。ラジオ番組に出演したり、新聞記事で活動が紹介されたりすることもあったという。
しかし、経歴を見ると、心理学、カウンセリングなどを専門的・体系的に学んだ形跡はない。サイトに記載されたプロフィールを見ると、自分自身も思春期のころは、やる気がなく「思春期の典型」であったと述べられている。学校卒業後は、営業職や塾講師などを転々とし、勤務成績も振るわなかったようだ。
その中で「コーチング」に出会ったことが、自分の人生を変える転機になったという。サイトから引用すると、
コーチングを学んでいくにつれて、今まで、自分がどれだけいい加減に生きてきたかに気が付きました。(中略)それに気が付いてから、そんな自分を変えたくてコーチングにのめり込んでいきました。同時に心理学も学んでいきました。休みの日にはセミナー・研修にでかけ、次から次へと本を読みあさりました。その頃はまさしくコーチング三昧、心理学三昧でした。
彼の熱意はよくわかる。実際に救われた人も多かったかもしれない。
しかし、その活動が、性的な関心を持って子どもに近づくための手段になっていたり、自身の罪悪感の埋め合わせとして使われていたりするのであれば、暗澹たる気持ちにならざるを得ない。