みんなに投資してもらう
3つ目に、「今ならでは」の成功の手法を提示しよう。それは、クラウドファンディングである。一昔前なら考えられなかったことだが、いまなら開店資金をクラウドファンディングで集めることが可能なのだ。
クラウドファンディングのサービス大手である「Makuake」で、456人から1,550万円を集めることに成功したのが、西麻布の会員制バー「Corvinus02」だ。これは、同サービスの飲食部門の最大金額となっており、ワインを気軽に楽しめる会員制バーとして、開店以来人気が続いている。

まずクラウドファンディングを利用することによって、先行投資額が劇的に軽減される。これは、なによりの魅力である。飲食店の開業コストが1,000~2,000万円程度と考えた場合、オープン前から1,550万円を集めることがどれだけ有利となるかは容易に想像できるだろう。また、クラウドファンディングに参加した人は「設備投資に参加した」という意識をもつため、開店後、必ず店に足を運んでくれるというメリットも大きい。
さらに、クラウドファンディンは「プレマーケティング」にも使える。クラウドファンディングの時点で注目を集めれば、多くの人の目に触れる。また、寄せられた様々な意見から、自分たちのコンセプトが受け入れられるのかを確認することができる。こんなワインを揃えてほしいとか、こんなシーンで使いたいなど、店の内装が始まる前に要望を教えてくれるのだ。
もちろん、すべての「開店計画」にお金が集まるわけはない。クラウドファンディングはそんな生易しいものではないことも事実だ。
だが、ここはほとんどコストをかけずに、自分の考えている店の業態やコンセプトが「ウケるかウケないか」を実証できる貴重な場でもあるのだ。
仮に、これで50万円も集められないようであれば、「その店をやらない」という判断を下す……といったように、判断材料のひとつにするのも手だ。店を始めるにあたって、顧客を創造することができないということが証明されるわけだから、ここで「虎の子の資金(その多くは退職金だろう)」を無駄に使う必要はない。