「シンゾー・ドナルド」蜜月アピールに隠された日本の決定的譲歩
ゴルフしてる場合じゃない親密さや絆では通商問題は解決しない
トランプ米大統領がアジア5カ国歴訪の最初の訪問地として、11月5日から3日間の日程で日本を訪れる。大統領就任後初の来日となる。
菅義偉官房長官の発表(10月24日)によると、トランプ大統領とメラニア夫人は滞在中、天皇皇后両陛下と会見するほか、安倍総理との首脳会談、拉致被害者家族との面会がセットされている。政府は「シンゾー・ドナルド」関係の親密さを誇示して、日米同盟の強固さをあらためて世界にアピールする構えだ。
このところ、新聞やテレビは、関連ニュースとして、弾道ミサイルと核兵器の開発を一向にやめようとしない北朝鮮対策での連携や、そんな深刻な状況のなかで安倍総理が大統領をゴルフに招いていることの是非を大きく扱っている。
しかし、世界第1位と第3位の経済大国の首脳が膝を詰めて話し合うべき重要な課題は、ほかにいくつもあるではないか、と言いたい。なかでも大きいのが、世界平和の要でもある自由貿易体制をどう維持していくか、また、2国間の通商をどうするかという問題だ。
これらのテーマは、かねて「アメリカ・ファースト」を前面に掲げてTPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱を決めたトランプ大統領が相手だけに、安全保障面での親密さや個人どうしの強固な絆を演出するように簡単にはいかないだろう。
特に、アメリカが早くから強い意欲をみせてきた日米間のFTA(自由貿易協定)交渉の開始問題は、日本にとって頭の痛いテーマだ。のらりくらりと先延ばしを続ける政府の対応は賢明と言えるのか。そして、そんな姿勢がいつまで通用するのか。ほかに採るべき戦略はないのか。