2017.11.08
# 企業・経営

つくばエクスプレスで「トラブル多発」大丈夫か⁉

現役職員の嘆きも
田中 圭太郎 プロフィール

こうした事故やトラブルについては、東京新聞(2017年6月20日朝刊)や、週刊東洋経済(2017年8月26日号)でも報じられている。複数のメディアが、つくばエクスプレスの安全対策に疑問を呈している状況なのだ。

さらにAさんは、もうひとつの決定的な「欠陥」があると指摘する。

「つくばエクスプレスは、乗客やホームにいる客が異常に気づいても、列車を止める手段がないのです。誤って線路下に降りたり、落ちたりしたのを見つけたとき、人身事故が起きそうになっても、どうすることもできません。その理由は、ホームに列車非常停止ボタンがないからです。

列車を止めるには、SOSと書かれたインターホンを押して、事務所にいる駅員を呼び出し、状況を説明して、止めるように伝えなければならない。そのうえ、電車を止めるときには、駅員が「携帯無線機」と呼ばれる装置を持って、ホームまで行かなければならないのです。

駅事務所は1人勤務の場合も多く、他のお客様に対応していたりすると事務所不在のこともあります。そうなると万一、人身事故が起きそうになっても、対応できるかどうか…」(会社側の反論は後述)

これでは、いつか大きな事故が起きてもおかしくないというAさんの指摘も納得できる。

 

驚くべき人員体制

いったいなぜ、このようなことが起きるのか。Aさんはこう解説する。

「安全性を損なっている一番の原因は、駅員の不足だと思っています。駅員を増やせば、多くの問題は解決できるはずです。普通、列車の増発があるたびに、人員を多少なりとも増やします。しかしうちの場合、北千住駅には1日に6人が勤務していますが、その人数は今も昔も変わりません。同じ北千住駅にあるJRや東武、東京メトロだとその2~3倍は駅員の数がいると思います。

ほかの駅でも、定員の増減がありません。現場のキャパはほとんどオーバーしています。

他の私鉄では、混雑する時間だけアルバイトを雇ってホームに常駐するといったところも見られますが、うちは基本的には6人から増えない。秋葉原駅も6人しかいなく、混雑時には、4人しかいない浅草駅から1人応援に来るという状態です。

挟み込みもそのほかのトラブルも、設備や人員が十分であれば対応できるのですが、わずかな人数では対応できません。1人勤務の時間帯でさえ、ホームの監視、巡回、改札口での乗車券発売や精算対応、遺失物引渡し、外部からの電話、社内連絡などをしなくてはなりませんが、現状、人員にまったく余裕がなく、休憩を取ることもできません」(現在、北千住駅などでは増員をしたとのこと。詳しくは本記事末尾に掲載)

さらにAさんが指摘するのが、駅員の勤務実態の問題だ。

「つくばエクスプレスの駅員には基本的に『日勤』がなく、朝9時から翌朝9時までの24時間泊まり勤務が基本です。ところが、泊まり勤務が終わったあと、そのまま夕方6時過ぎまで働き続けることが多くあるのです。職員は、疲労で疲弊しきっているのです」

人員不足とそれに伴う過重労働と現場職員の疲労によって、本来避けることができるトラブルが避けられない、とAさんは指摘するのだ。

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