寿命100年時代を迎えようとするこれからの時代、投資に対する考え方も変える必要がある。退職金などまとまったお金を手にしてから運用を始めるのではなく、早い段階からコツコツと投資残高を積み上げ、時間を味方に付ける方が長寿社会においては合理的だ。
長期で投資を継続していれば、リーマンショックのような株価下落が発生しても、その影響を最小限にとどめることができる。だが、そうは言っても、こうした暴落は何とか回避したい。もっと言えば、暴落に乗じて儲けたいというのが、多くの個人投資家のホンネだろう。
バブルの発生やその崩壊を予測するのは難しいと言われているが、実はそうでもない。マクロ経済のある指標に着目すれば、かなりの確率でバブル崩壊を察知することが可能だ。実際、優れた投資家はこの手法を駆使して大暴落から自らの資産を守っている。
そもそもバブルとは何か
ひとくちにバブルといってもその形態は様々であり、人によって意味するところも違う。それぞれが勝手に「バブルだ」「いやバブルではない」と論争したところで意味はない。まずはバブルというものについて、しっかりと定義しておく必要があるだろう。

バブルと呼ばれるものには大きく分けて2つの種類がある。
ひとつはマクロ的な現象で、過剰流動性が発生し、資産価格全般が高騰するタイプのバブルである。リーマンショック前の米国や、1980年代における日本のバブル経済はまさにこれに相当する。
もうひとつは特定の産業セクターを対象とした局所バブルである。局所バブルは新しいテクノロジーに対する過度な期待から生まれることが多い。期待感が先行し、その企業が現在、生み出している利益水準からは説明不能なレベルまで株価が高騰する。2000年前後に発生したネットバブルはまさにこの典型といってよいだろう。
局所バブルは、いつの時代でも発生している。新技術への過剰な期待から株価が高騰したり、一気に下落するのは株式市場ではよく見られる光景といってよい。だが長期的に投資に取り組む個人投資家にとって最も気になるのは、こうした局所バブルではなく、リーマンショックに代表されるようなマクロ的なバブルの方だろう。
マクロ的なバブルが崩壊すると、株式や不動産、金、債券など、あらゆる資産価格が一斉に下落し、場合によっては金融危機が発生する。
過剰な下落の後には、反動で上昇することがほとんどであり、投資を継続していれば、それほどの損失にならないケースが多い。実際、リーマンショックの後にも淡々と投資を継続すれば、バブル崩壊の損失は比較的短期間で取り戻すことができた。
だが、言うは易しで、現実はそう甘くはない。バブル崩壊直後、市場参加者全員が恐怖を感じている中、追加投資を決断できる人は少ない。できればバブル崩壊前に一旦、手仕舞いし、落ち着いてから投資を再開したいと考えるはずだ。