ルークの物語
この新しい三部作は、レイが主人公だ。『最後のジェダイ』でも彼女は大活躍するが、それ以上に、今作は「ルークの物語」の印象が強い。
かつてルークがオビ=ワン・ケノービやヨーダからフォースを学んだように、今度はレイ(デイジー・リドリー)がルークからフォースを学ぶのだろうという予想は当たる。
だが、これもそう単純な話ではない。
ルークが隠遁していた理由が明かされる。そしてルークが、その原因となったことに決着をつけるのがストーリーの主軸となっており、そこではレイは脇役となってしまう。
レイとカイロ・レン(アダム・ドライバー)との勝負という、『フォースの覚醒』から続く物語は中盤の山場となり、ここで意外な展開となるが、これはネタバレになるから書かないでおこう。
「レイとルーク」の師弟物語と、「レイとカイロ・レン」のライバル物語の二つはからみあって、最後には「ルークとレンの勝負」へとなだれ込む。
それとは別に、銀河帝国にかわって誕生し、勢力を拡大している独裁体制であるファースト・オーダーとレイア(キャリー・フィッシャー)率いるレジスタンスの戦いという「大きな物語」も、予想外の大展開をみせ、激動の数日間となる。
最初の三部作であるエピソード4~6では、『帝国の逆襲』ではダース・ベイダーがルークの父、アナキン・スカイウォーカーであったことが判明し、『ジェダイの帰還』ではルークとレイアが兄妹だったという「衝撃の事実」があった。
『最後のジェダイ』でも、レイの両親についての「衝撃の事実」が期待されたが、それは肩透かしという意味で、意外な展開。というより、謎は残したままとなる。
小さなロマンス
『スター・ウォーズ』はあるファミリーの物語と、権力闘争とが重なり合い、それと師弟の物語や、友情や、戦場でのロマンスが絡むところに面白さがある。
『最後のジェダイ』ではヒロインのレイに恋愛をしている暇はない。
そのせいか、レジスタンスの女性整備士ローズ(ケリー・マリー・トラン)が新たなキャラクターとして登場し、フィン(ジョン・ボイエガ)との戦場での小さなロマンスのヒロインとなる。

ローズを演じるケリー・マリー・トランは初めて見たが、アメリカでも無名の女優で大抜擢のようだ。経歴にはアメリカ生まれとあるが東洋系だ。
このロマンスは、恋愛ドラマの王道に従い、「最悪の出会い方」をした二人が、喧嘩をしながら事件に巻き込まれていくうちに互いに敬意を抱き、それが好意となり……という展開。
『スター・ウォーズ』シリーズの恋愛の要素は、ジョージ・ルーカスが作った6作では、あまりにも陳腐だと評判が悪かった部分だが、『最後のジェダイ』は、「あるある」というバターンではあるが、この殺伐とした戦争の物語での恋愛ドラマの必然性を感じさせる。
前作では大活躍したフィンは、後半はある作戦での主役となるが、ちょっと影が薄くなり、むしろ、レジスタンスの戦士ではポー(オスカー・アイザック)のほうが印象に残る活躍をする。