鍋の季節である。家族で、または友達や恋人を呼んで鍋を囲み、幸せな時間を過ごしたいと思う人も多いだろう。
そういう方々に私は声高に言いたい。
「だしさえあれば、絶対にうまい鍋ができる!」

数年前まで、毎日のごはん作りに顆粒だしを愛用し、自分でだしをとることはほとんどなかった。
ところが、今ではまったく面倒に思わず、呼吸をするようにだしをとり、もうかつお節や昆布のない生活は想像すらできない。だしのある暮らしは何がそんなにいいのか。どんなメリットがあるのか。改めて考えてみると、理由は意外なくらいシンプルだった。
1 おいしい
2 かんたん
3 たのしい
4 減塩
5 太りにくくなる
6 意外と高くない
7 子どもの味覚を育てる
8 心と暮らしを整える
今回は、料理が苦手だった私がだしの取り方に目覚めてまとめた『もっとおいしい、だし生活。』の中から、「おいしい」「かんたん」「減塩」「太りにくくなる」についてお伝えしたい。そこには、美味しくヘルシーで簡単な鍋の秘密がつまっている。あなたが冬の鍋生活の主役に、簡単になれること間違いなしである。
今まで使っていた「スープの素」が不要に
だし生活を始めて3年。自分でも驚くほど、顆粒だしやだしパックをまったく買わなくなった。それだけではなく、コンソメキューブや顆粒のブイヨン、鶏ガラスープの素も、一切購入していない。
なぜなら、簡単にだしをとる方法が身についたということと、かつお節や昆布、煮干し、干し椎茸などから自分でとっただしで作る料理が、簡単なものでもおいしくて満足ということ。そして、天然のうま味成分を毎日摂取することで食の嗜好や味覚が変わったのか、コンソメやブイヨンが必要な料理を作ろうと思わなくなった、ということも大きい。
だし生活を始める以前、冬はよく、コンソメキューブを使ってミネストローネやポトフを作っていたのだけれど、これらのスープは、昆布だしやかつおだしで作るようになった。トマトや玉ねぎなどの野菜や、ソーセージ、ベーコンなどからもうま味やだしが溶け出すので、味の濃いコンソメキューブを使わなくても十分おいしく、物足りなさを感じることもない。
顆粒の鶏ガラスープの素も、今思えばよく使っていた。たまに鶏ガラスープを使いたいと思ったときは、本物の鶏ガラを煮込んでスープをとる。スーパーで1個100円から200円程度で買えるのでコスパもいいし、ただ煮込むだけなので特に難しいこともない。ル・クルーゼの鍋で鶏ガラを煮込み、沸騰したらガス台から鍋を下ろして保温調理カバーをかける。弱火でじっくり煮込み続ける状態を保ち、余熱調理ができるので、ガス代が跳ね上がることもない。
鍋いっぱいに作った本物の鶏ガラスープは、冷蔵庫で2、3日くらい持つ。塩を少々加え、小口切りのネギを浮かべただけのシンプルな鶏スープは、これだけでとてもおいしい。
昆布やかつお節、煮干し、干し椎茸などからとるだしは、ベースがうま味のかたまりなので、そこに少量の塩や醤油で味を調えるだけで料理が完成する。極論をいうと、「味付けはもはや塩か醤油だけでいい」と思っているくらいである。「この素晴らしいうま味を、濃い味の調味料で消したくない」と思うようになったのだ。