ゲイ/レズビアンが憂鬱になるシーズン
クリスマスを中心としたホリデーシーズン。欧米では、その時期に鬱状態がひどくなるゲイやレズビアンも少なくないという。
祖父母なども含めた家族が集まって過ごすことが習慣となっているため、普段、実家から離れているゲイ/レズビアンの中には、帰るべきかどうか悩んだり、帰ることは決めたものの、そのことが憂鬱に感じたりすることがあるというのだ。
もちろん、自分のことをカミングアウトした上で、それが受け入れられていれば全く別の話となる。
その話を初めて知ったのは、 20年ほど前にゲイ/レズビアンに関する米国の論文を読んでいたときだった。そして、今でもその話をときおりインターネットの英語記事でみたりする。
その話にふれるたび、私は、日本のゲイ/レズビアンにとってのお正月に似ていると思う。

鬱状態になるほどかどうかはさておき、カミングアウトしていない(そして、異性と結婚するという選択をしていない)ゲイ/レズビアンにとって、家族あるいは家によっては親戚も集まるお正月は、異性との付き合いや結婚について話を向けられることがあるため、居心地を悪い思いをしがちだ。
あるいは、親きょうだいにカミングアウトしている人でも、親戚にまでそのことを伝えている人は少ないので、親戚から結婚の話が出るなどして、親きょうだいともどもなんとなく気まずい思いをしたこともあるだろう。
たとえ帰らないという選択をしたとしても、家族との関係が強い場合には、帰らない自分を責めたり、寂しさを感じたりして、日頃から鬱などのメンタルな問題を抱えている人は、精神的な不安定さを増すこともある。
もちろん、それぞれの家族関係のあり方や、正月の過ごし方、自分の性的指向を言わないことへの割り切り方は人それぞれだし、ゲイ/レズビアンと一口に言っても感じ方は様々だ。
ただ、自分も含め、そういう経験をしてきた人たちがいることは確かなことといえる。そして、そのことがカミングアウトについて理解する重要なポイントとなる。